今や現代人において必要不可欠となるのが携帯電話。スマートフォンの普及によって単なる通信手段としての域を超えた便利ツールとなりました。そんな携帯電話の料金値下げがここ数年取り上げられています。
というわけで今回は「携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化」について詳しく説明致します。
携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化①【携帯料金は高すぎる?】
「携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化」というテーマで最初にふれるのは「携帯料金は高すぎる?」です。
現代人にとってどこにいくにも必ず必要となるのが携帯電話。
考えようによっては、財布を持ち歩かなくても携帯電話さえ、持っていれば、なんとかなるものです。
単なる通信手段というだけではなく、買い物や支払いもできてしまうのですから、お財布の変わりは、十分はたすわけです。
携帯さえあれば、生活できてしまう、そんなアイテムなのです。
何はなくても携帯電話の利用価値を更に高めたのはスマートフォンの登場です。
スマートフォンの登場は、インターネットをより身近にし、生活の便利さをより高め、様々なサービスを提供しました。
スマートフォン登場以前の携帯電話では、ガラケーが一般的で主な使い方としては、通話でした。その他聯絡手段としては、メールが一般的であり、現在のようにsnsへの依存という状況には、ほど遠かったのです。
ガラケー全盛の時代に比べ、スマートフォンは一気にその利用価値を高めることとなりました。
そして、時代は、平成から令和へと変わり、日本のリーダーも安倍前総理に菅義偉新首相に変わりました。
そして菅首相が政策として提示したのが、「携帯料金の値下げ」です。
国民にとっては携帯料金が下がることは、大変喜ばしいことです。
菅首相は、総理就任以前、総務相であったことから、携帯電話料金値下げに、これまで注力してきたのです。
遡ること2018年には、具体的には、「携帯電話料金は4割値下げできる」と提言しているのです。
携帯各キャリア企業にとっては、直接的な影響を被るわけですが、菅首相は、各社の利益率が高止まり状態であることを指摘し、値下げが可能であるというスタンスを崩していないのです。
そのような菅氏が総理になったのですから、自らの悲願として、明確な政策として実行する可能性は高まったと読めます。
そもそも、携帯電話回線というのは、携帯キャリアのものではなく、国民全員の財産であるとの考えを示しており、実際には公共の電波であるにも関わらず、通信キャリアBIG3と言われる3社が市場シェアのおよそ9割を寡占している状況がそもそも問題ではないかと指摘さているのです。
実は世界的に見ても、日本の携帯電話料金は高値てあり、営業利益としては、約20%も計上しているのです。
このことから、携帯電話料金の4割引き下げ案を提示し、問題点であるとして主張しているのです。
携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化②【料金値下げキャンペーンの効果は】
「携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化」というテーマで次にふれるのは「料金値下げキャンペーンの効果は」です。
では、実際に2018年から行われている総務省主導による携帯料金値下げキャンペーンの実際の成果とは、どの程度のものだったのでしょうか。
2019年10月には、電気通信事業法改正が行われていきました。
これにより禁止となったのは、次の点です。
- 2年縛り
- 端末購入補助
これによって通信代金と端末代を明確にする「分離プラン」などが発生しました。
これまで、通信キャリアを縛りつけてきた根源とされた「2年縛り」。違約金そのものは1000円以下とはなったのものの実質、3大キャリアからの移動というのは、大きな動きはなく、ほぼ見られませんでした。
国の施策に対応するため、各社ともにそれぞれ営業努力とニーズにあったマーケティング戦略によって、営業利益は20%をキープしているのです。
結果的に総務省の「携帯料金値下げキャンペーン」は失敗したと言わざるをえないのです。
通信キャリアの解約率からしても、顧客は契約をそのまま維持し使い続けていることが明白になったのです。
ユーザーとしては、自身が使い続けているキャリアのサービスには、それなりに満足しているということになるのです。
ほとんどの人が契約をキープしているということは、面倒な手続きや、キャリアが変わることによるわずらわしさを考えれば、あえて携帯を変える必要は、どこにもないと判断したのです。
「携帯料金値下げキャンペーン」は、実質ユーザーからして見れば、それほど効果的には映らなかったというわけです。
結果的に非常に中途半端で終わってしまった感があるキャンペーンとなるなら、よりインパクトのあり値下げ感を打ち出さなければユーザーは、興味を示さないのです。
日本の携帯電話の契約者総数は1億8000万超となります。
その内MNP件数は年間500万件前後で、ピーク時に比べれば7割程度なのです。
通信キャリア大手3社、ドコモ、au、ソフトバンクの解約率は、わずか0.5%強~1%未満と低水準であり、3大ブランドの強さを知ることになるのです。
携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化③【BIG3が盤石な理由】
「携帯料金値下げにおけるマーケティング戦略の変化」というテーマで最後にふれるのは「BIG3が盤石な理由」です。
これまで、通信キャリアをリードしてきたのは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社となります。
日本の携帯通信キャリアとして、組織や運営母体の変更などは、歴史の中でもありましたが、基本的に現在でも、この通信キャリアBIG3と言われる3社の影響力は、業界の中では、揺るぎません。
長きにわたり、これらの3社が携帯市場において、その立場が盤石な理由とは、いったいなんでしょうか。
まず、1つ言えること「独占禁止法」です。
業界の中でたった1社のみでは独占事業会社として、独占禁止法にひっかかってしまうからです。
業界によっては、かつては、何十社として存在していた業界も長い歴史の中で、合併、統合を繰り返し事実上、業界で2社のみとなってしまった業界もあります。
ここまでに統合されてしまうと、業界としての競争意識は薄れ、業界そのものの発展に影響します。
ツートップの場合、業界1位、2位のボジションは、ほぼ固定されてしまうからになるわけです。
たった2社の場合、持ちつ持たれつという関係になってしまい、市場競争原理を失わせることになります。
例えば他業種で言えばMicrosoft、Appleという2社が代表的ですが、この2社の場合、互いをライバルしし、良い意味で競争が激化しているからです。
このような2社であれば、どちらかがリードする争いが続くようになります。
結果的にどちらかが、その争いに負けたとしても、独禁法により、なくなることはないのです。
その点、3社による寡占市場は、市場のバランスとして、それぞれが3分割していけばよく、無駄な競争をすることなく同じようなサービスを提供していくことにより安定的に経営することができるのです。
業界そのものも、非常に安定するのです。
また3つという数字は、それぞれ微妙に異なったサービスや戦略、展開を顧客に対して提供することができます。
顧客としても、どの企業を選ぶかは、その時代によって選択することができるというわけです。
業界で、2社しか存在していないのであれば、二者択一のどちらかとなり、顧客は固定しがちになるのですが、3社の場合、ニーズやトレンドによって顧客は、選択の可能性も増加していくということになるわけです。
日本の携帯電話の3社の存在により業界は、安定しているともとらえられるのです。
その存在感が揺らぐことはないため、国が携帯電話料金を下げようとしても、下がらないのも、この3社寡占市場の構造が強いからというのが理由なのです。
今後、携帯料金を下げるには、この3社寡占市場を脅かすような第4勢力に期待するしかありません。