営業職をしていると「営業は足で稼ぐもの」と言われたことがある人も多いでしょう。
多くの顧客に会いに行き、その結果として営業成績が着いてくるというのは長く信じられてきた言葉です。
それは正しくもあり、根拠がないとも言えます。
どちらが正解とは言えませんが、「足で稼ぐ」ことについて考えてみましょう。
目次
足で稼ぐことのメリット
私自身も新卒入社した会社が足で稼ぐスタイルの仕事だったので、良い面も悪い面もわかっているつもりです。
効率化などを考えるともっとスマートな手段はいくらでもありながら多くの会社が足で稼ぐことを選んでいるのはそれだけ効果があるからです。
足で稼ぐことのメリットを挙げます。
人間関係が作りやすい
営業はどれだけ突きつめても結局は人と人です。
各社コスト面、商品性などの競争はありますが、そこで優劣がつかない場合はコミュニケーションがモノを言います。
顧客に足しげく通うことで人間関係が構築されていき、提案は通りやすくなります。
小さな案件であれば尚更で、先方担当者の判断で発注できるレベルのものであれば、コミュニケーションがとれていることで発注されやすくなります。
会いにこない営業は信用できないと考える顧客もいますので、会うことは大切なのです。
雑談から生まれる案件もある
顧客に会うと商談以外にも雑談をする機会は増えます。
そしてこの雑談は意外なニーズを引き出すことができますので決して侮ることができません。
電話やメールでも雑談はできないことはありませんが、多くの場合は要件を伝えるだけになります。
その方が効率は良いですが、新しい物を生みだすなら顧客に会って雑談をすることも必要になります。
営業スキルが上がる
足で稼ぐことを主とする会社は顧客を分析することよりも、接触することを重視します。
数をこなすことになりますので、いろいろなシチュエーションにも遭遇します。
その積み重ねにより自然と営業スキルは上がっていきます。
特に営業経験が浅い時期には有効であり、考えるよりも実戦で多くのことを身に付けていきます。
足で稼ぐことのデメリット
足で稼ぐことは良い面もありますが、現代に求められているものとのズレはあります。
また、仕事を頑張っている割には成果が出ないという事象も起こりやすくなります。
効率が悪い
足で稼ぐことで1社にかける時間が長くなりますのでどうしても営業効率が悪くなってしまいます。
日中を営業活動に回すとするとその他の事務仕事や提案書の作成は会社に戻ってから行うことになるので勤務時間も長くなり効率が良いとは言えません。
昨今は働き方改革が声高に言われており、ガムシャラに残業をすることが評価されない時代になっています。
その中で足で稼ぐことを選ぶと移動やアポイントの隙間時間などを要するため勤務時間が長くなり、会社の方針からも外れることになってしまいます。
限られた営業時間の中で結果を出すことが正しいスタイルであり、その観点から言えば足で稼ぐ営業は時間のロスが多いです。
さらに経営者目線で言えば、人件費や交通費などのコスト面でも足で稼ぐ営業は効率が悪いと言え、業績を圧迫することになります。
会える顧客と会えない顧客に差が出る
売上を増やすには提案の機会も増やす必要がありますが、全ての顧客に会うことは現実味がありません。
顧客の中には時間を取れない相手もいますので、会いやすい顧客にばかり会うことにもなります。
結果、会える顧客には強い営業になりますが、それ以外には良い提案が出来ないこととなります。
もちろん1社を深掘りすることも重要な仕事ですが、提案先を増やさなければいずれ頭打ちになる日が来ます。
目的がおかしくなる
足で稼ぐというのは売上をあげるという目的のための手段に過ぎません。
しかし、足で稼ぐことの意味を理解していないと顧客に会うことが目的となってしまい、会った後にどうするかを見失ってしまいます。
酷い場合にはアポイントをきらない飛び込み営業で立ち話ができただけで満足してしまうことになります。
足で稼ぐのは肉体的にも疲れます。
そのため、仕事をした気になりやすいという罠に嵌る危険が高いです。
毎日懸命に働いているのに一向に結果が伴わないと悩んでいる人は、顧客に会っただけで満足してしまっていないかを見直してみてください。
足で稼ぐ以外の接触方法
足で稼ぐ以外にも営業する方法はいくらでもあります。
便利なツールはありますのでそれらをうまく活用していけば、足で稼がずとも実績をあげることは可能です。
電話
営業ツールの鉄板といえば電話です。
相手と直接会話ができますのでコミュニケーションも取りやすく、短い時間で商談をすることが可能です。
アポイントの合間の時間など、ちょっとしたスキマ時間も有効活用できる点でも優秀です。
電話を苦手としている人もいるかもしれませんが、気なることや伝えたいことがあったらすぐに電話をする癖をつけることをおすすめします。
電話の回数を増やすことで、足で稼ぐ以上に顧客との関係性を保つこともできます。
メール
メールは営業をするためには確実に使いこなせなければなりません。
資料をおくることもできますし、忙しい相手に対して提案を行うこともできます。
文章として残りますので、良くも悪くも「言った、言っていない」のトラブルがないというのも取引をするうえでは特筆すべき点です。
メールはきちんと書かないと自分が思っていることが相手に伝わりにくい部分がありますのでそこは注意が必要です。
便利ではありますが、頼り過ぎると会って話しができる人に対してまでメールで済まそうとしてしまう危険性はあります。
使い所には気をつけましょう。
ウェブツール
最近ではウェブを活用して、顧客の元に直接足を運ばなくても営業ができる手段もあります。
ウェブカメラを使って商談をすることもできますので、移動時間を要せずに営業活動が出来る点は大きなメリットです。
導入するかしないかは企業判断ですので個人では対応できないかもしれませんが、今後一般的に使われるようになる可能性は十分ありますので、覚えておいた方が良いでしょう。
まとめ
足で稼ぐ営業は古いという考え方もありますが、営業の基本であるとも言えます。
業態にもよりますが、どちらが正しいかという答えはこの先も出ることはないでしょう。
その分営業個人は柔軟な対応が求められ、自分の考えを押し通すだけでは通用しません。
各ツールもうまく活用しながらいろいろな営業手法を試してみてください。