私達の暮らしを支えるエネルギー。火力、電力、水力、原子力など様々なエネルギー事業があります。
そんな中、全てを電気で賄おうというのが「オール電化」。今回は、この「オール電化」について様々な角度から考察してみます。
電力自由化におけるオール電化の商品価値
様々なエネルギーは、生活を豊かにし暮らしを支えてくれています。
現在の日本では、どこに行っても水が出て電気が使え、ライフラインが整備されています。
既に当たり前となっている生活は、多くのエネルギー事業によって支えられているのです。
その中で特に電力については、生活の中でなくてはならないもの、生活の基本となるあらゆることが電力によって支えられています。
例えば、灯り1つつけることさえ電力が必要なんです。社会全体もこれだけの情報社会となり様々なデータが存在していますが、ビッグデータなどの膨大な情報も電力がなければ、全く使いものになりません。
そんな日常生活の全てを電力のみで賄おうとするのが「オール電化」です。
現在、電力自由化により電力会社はもとより、それ以外のエネルギー事業の企業なども積極的に取り組んでいます。
現状では、IPP、自家発などが伸び悩むという状況である電力需要に対して、ガス需要に変わるのが「オール電化」なのです。
電力自由化によって、厳しい局面に立ち向かわざるを得ない電力会社にとっては、生き残りをかけた経営戦略なのです。
これまで家庭におけるガス利用はキッチンとお風呂などの給湯熱源でした。これを全て電力で賄おうとする「オール電化」は、数年前より注目されていました。
現在の「オール電化」契約件数は全世帯3%強。150万件に普及しており、それなりの実績となっています。
「オール電化」の波は、着実に私達の生活に浸透してきています。
その中でも電力会社、最大手の「東京電力」では積極的な宣伝活動やキャンペーンを実施し、「オール電化」を世間にアピールしています。
その成果もあり東京電力の「オール電化」契約伸び率は電力会社10社のうちで最大となっています。
しかし「オール電化」を普及させるには、積極的なアピールや宣伝攻勢だけで普及させることはできないのです。
「オール電化」を普及させるには地道なマーケティング戦略が必要とされるのです。
オール電化の営業戦略
一般住宅における「オール電化」にすることによる最大の違いは、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの住宅設備機器の違いにあります。
家庭の熱源をガスから電力に変えることで機器そのものも当然変わってきます。
そうなると、どのエネルギーを採用するかにより、住宅設備メーカー、ハウスメーカー、工務店、リフォーム業者など様々な業者へ派生し影響を与えることになります。
つまり、「オール電化」のアピールは、第一ターゲットとなる顧客(施工主)と、住宅に関わる各企業の両者へのマーケティングを考慮する必要があると言うわけです。
エンドユーザーとサブユーザーに対しての売り込み戦略となります。これを東京電力では「ハンバーガー戦略」と呼んでいるというこうことなのです。
この2つのユーザーに対しての営業戦略は、もちろん立場が異なるので営業戦略も当然違ってくるわけです。
ハウスメーカーなどデベロッパー企業へは「オール電化」の仕様説明を伝え、エンドユーザーには導入することによるメリット、デメリットなどを伝える必要があります。
実際、オール電化を採用するかどうかをジャッジするエンドユーザーにとって、最も考慮するのがコスト面です。
オール電化には、大きなコストがかかることがネックとなります。
新築にしろリフォームにしろ、いずれにしてもオール電化導入にはコストがかかる為、それ以上のメリットがなければ、エンドユーザーは二の足を踏むということなのです。
そのような事情から、オール電化、促進の為 金融面での優遇制度が用意されているのです。
具体的には次のような優遇制度があります。
- 電気料金の各種割引
- 火災保険の割引
- 住宅ローン金利優遇制度
- 機器のリース制度
これらの優遇制度は、電力会社のみが行うわけではなく銀行や損保会社などの関連業者とのコラボレーションで実現されるのです。
このようにエネルギーという住宅構造の基盤にあたる部分によって、それに関わる全ての関係業者が連動したグループ戦略を行う必要があるのです。
その為、「オール電化」の商品、サービスとしての利用価値の他に、コスト面でのサポートをする仕組みを作り、エンドユーザーの背中を押す必要があるというわけです。
このようなグループ戦略は、何も「オール電化」事業に関わらず、金額の高い取引や契約においても同様の手段がとられます。
オール電化の良さを知ってもらう営業活動
そしてもう一つ、エンドユーザーにとって「オール電化」の良さを理解してもらう為に難しいのが、実体験となります。
オール電化の良さをいくら卓上で説明しても、実感がなく理解してもらえないということです。
その為、ユーザーに実際に使ってもらう体験型商品があるということです。
具体的には宿泊体験型のオール電化モデルハウスの開設や
IH料理教室などを行っています。