「人事考課をしても人材の評価をするのは難しい」
「どうやったら面談で人材を判断できるのか?」
業界は様々でも企業の人事担当はみなさん同じような悩みを抱えていることでしょう。
適切な人事考課を行えなければ人材のモチベーションを維持するのは難しく、最悪、転職をされてしまいます。今回は人事初心者でも簡単にできるいくつかの人事考課テクニックを紹介いたします。皆様のお役に立てますと幸甚です。
そもそも人事考課とは
人事考課、または人事評価とも呼ばれるこの制度は歴史が古く、日本の大企業・中小企業では8割以上に定着している従業員の評価制度です。
その面談は従業員にしてみると緊張や不安の時間であったり、プレゼンのチャンスであったりします。人事担当にしてみると、短時間で人材評価をし、労働条件へ反映させるという大切な業務と言えます。
人事評価の際には「昇給・減給」「ひきとめ・退職勧奨・解雇通知」「研修提案・配置転換提案」などが一緒に行われる場合もあり、また普段従業員が言わない本音を引き出すための貴重な時間とも言えます。
人事考課の失敗が引き起こすこと
人事考課は簡単ではありません。1人の人材の本質や能力をわずか年1、2回の面談で判断し、適切な評価を下さないといけないからです。
しかも人事考課に失敗した場合は著しい損害が発生します。
例えば、優秀な人材の転職やモチベーション低下です。
これは条件据え置きや減給したときにも置きますが、昇給だとしてもそれが相手の期待値以下の場合には起こりえます。また不要だとランク付けしていた人材でも下手な不利益変更や批判をすると、致命的な労働問題になりかねません。
上記のようなミスマッチは「コミュ二ケーションの失敗」「アンバランスな人事評価」「未来のない評価」が原因で発生します。
人事考査の基本的な方法には複雑な仕組みはありません。これらの失敗リスクを回避するだけの極めてシンプルなテクニックです。
コミュ二ケーションの失敗
まずは、コミュニケーションの失敗について説明します。
人事担当者が半期ごとや1年ごとのタイミングに面談して「1人の人間を評価」すること自体がそもそも不可能です。人事考課が会社の自己満足であり、形骸化した方法といわれるのも仕方のないことでしょう。
それも「会社が評価してやる」という上から目線ではなく、「転職されないために相手の本心を教えてほしい」という仲間意識が重要です。傲慢な上から目線は相手に伝わりますし、相手は警戒し、不要なプレゼンやお世辞はいっても決して本心は語らないでしょう。
そして彼らはお世辞をいいながら転職サイトを閲覧し始めるのです。
人材が辞めることは周囲の雰囲気が悪くなりますし、採用活動の頻繁化という人事作業リスクが発生します。そうならないためにも従業員とリアルタイムで日常的な対話をすることが大切です。
そのときには業務成果の話のみならず、今後伸ばしていきたい能力や学びたいスキルなどについても理解をしていくことが大切です。
アンバランスな人事評価
アンバランスな人事評価というのは、従業員が納得できない評価をしてしまうことです。
そもそも人間が人間に対し、完璧な数値化や公平な評価をする事態が不可能です。もし、簡単だと思っているならばそれは人事担当者の自己満足な方法であり、気が付かないうちに社内に意欲の低下と不協和が広がっている可能性があります。
例えば、A~Fの6段階評価をしたときに、中間層はC、Dに固まりますが、彼らは単に意欲を下げるだけです。つまり何も配慮をしなければ、C、D評価を受けた組織の大多数である中間層の意欲は低下する構造になっているのです。
相手を納得させるには上からの圧力ではいけません。どれだけ相手のことを理解しているか?会社としての目標や業績と一致させたうえで、本人の今後の方向性に関して中長期のキャリアプランを一緒に考えていく姿勢が重要です。相手が納得できるプランであれば減給や配置転換でも問題はおきないのです。
未来のない評価
パワハラ的な人事担当者は人格批判をし、単純に相手に低評価・減給を伝えて終わります。
これは3流の人事考査であり、優秀な人材は転職を考え、その他の人材はやる気を失い、ネットに会社批判を投稿します。
「今回は残念だが、このような研修でスキルアップできる、人事としては協力したい」などです。日常的なコミュ二ケーションや評価から出てきた、本人の強みや弱みを放置せず、強みを伸ばしたり、弱みを克服したりするためのサポートを行うということです。この時ですが、勧める研修内容にも注意しましょう。
前時代的な古臭い外部研修を進めると逆効果になりますので、研修あっせんコンサルタントはよく見極めておきましょう。
人事考課簡単テクニックとは
上記のことから、人事初心者にもできる人事考課テクニックとは「日常的なコミュニケーション」を実施し、「相手の納得する評価」を行い、「評価とスキルアップ」を連動させることです。
こうすることで人事考課における致命的なミスを防ぐことができます。従来のやり方になれていた人は手間がかかるかもしれませんが、退職・採用を繰り返すことに比べたら、全体としては効率的になります。また、人材と会社組織のパフォーマンスも以前よりは改善されることになります。