既に様々なビジネスが存在する中で、企業間における差別化という意味では、非常に難しいとされています。
しかしそんな中でも、独自のビジネス戦略を持っているのがコメダ珈琲店です。
というわけで今回は「カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは」について詳しく説明致します。
カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは①【コメダの強さはなぜか?】
「カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは」というテーマで1つ目に取り上げるのは「コメダの強さはなぜか?」です。
日本人にとって、身近なものとなってきた珈琲。
日常の中で、よく飲まれるわけですが、それに合わせてのカフェビジネスというのも、今では非常に多いわけです。
スターバックスをはじめ、タリーズ、ドトール、ベローチェ、プロントなど様々なカフェが存在しています。
もちろん今上げたのは、ほんの一例で、マクドナルドのファーストフードやファミレスまで含めれば、カフェや喫茶店というのも、至るところにあるわけです。
個人経営の昔ながらの喫茶店もありますし、コンビニなどのセルフマシーン含めると、どれだけ珈琲文化が日本に根付いているかは、改めて驚くわけです。
原料となる珈琲豆そのものは、日本国内でほとんど作られていないことを思えば、輸入に頼り切っていることを考慮しても、これだけの珈琲文化が日本で根付いているのは、不思議な感じもします。
そんなカフェ文化が根付いた日本において存在感を放つのが「コメダ珈琲店」です。
皆さんも、コメダ珈琲店に行かれたことは、ありますか?
このコロナ禍という状況においても、コメダ珈琲店の売上は好調そのものと言えます。
コメダ珈琲店を運営しているのは、「コメダホールディングス」です。
コロナ禍真っ只中という最中、2021年2月期の売上高は288億3600億円。
前期比7.6%減という結果となりました。
しかし、この数字は熾烈な競争に置かれているカフェ業界の中では、コロナ禍という状況の中でも驚異的なもので、競合他社と比較しても、さほど影響がないのです。
ドトールが26.7%減、サンマルクが34.7%減という明らかな売上減を考えると、コメダ珈琲店の落ち込みは、一桁ですので、他社と比較すると、それほど大きな影響はないのです。
実質的にカフェ業界というのは、収益を上げることは難しいとされており、ドトールが43億1900万円、サンマルクが35億2800万円の営業赤字という数字に対し、コメダ珈琲は55億1100万円の黒字という状況なのです。
ここ数年での注目度も、一気に高まっているコメダ珈琲店ですが、カフェ業界の中でも、これだけの差がついているのは、なぜでしょうか?
そのビジネスモデルの違いにヒントは隠されています。
特にここ数年のコメダ珈琲店の伸び率は、成長著しいものがあり、過去3期の推移を見返しても確実に業績を伸ばしていることが見てわかります。
ドトールやサンマルクという他社と比較しても、売上の安定度というのは、非常に安定しているのです。
ということは、つまりコメダ珈琲と他のカフェチェーンとには、確実に違うビジネスモデルがあるのです。
明確に異なるポイントとしては、出店形態の違いや、ターゲット層の違いとなります。
それらの違い=差別化によって、このコロナ禍においても、動揺することはなく、非常に強さを持った企業とも言えるのです。
カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは②【低コスト運営】
「カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは」というテーマで2つ目に取り上げるのは「低コスト運営」です。
経営方針としての違いから見ると、コロナ禍という状況に関わらず、安定しているのは、販管費率が低いためです。
コロナ禍というこれまでにない状況が及ぼしたのは、客数の急減です。
店舗の地代家賃、人件費という運営費という店舗維持費がかかるのですが、コメダ珈琲店の場合、他社と比較しても圧倒的に低いことが特徴なのです。
コメダの販管費率が低い理由としては、原価率が高いからです。
その要因となるのがフランチャイズ加盟店からの収入です。
全国チェーンを広げるコメダ珈琲店の店舗数はは914店、そのうち直営店は50店舗のみであり、残りは全てフランチャイズ加盟店というのが実情なのです。
その割合として、実に94.5%がフランチャイズ加盟店であるということには驚きです。
他社と比較してみても、その高さは明らかで、ドトールはフランチャイズが72.3%、サンマルクは3.6%ということを考えれば、コメダ珈琲店のフランチャイズの高さは、改めて把握することができます。
言ってみれば、他店の経営方針としては、「直営主導型」のビジネスモデルとなるのです。
またコメダ珈琲店の強さの要素となるのが店舗運営にかかる経費削減です。
例えばコメダは自社で独自のパン工場を持っており、自社の生産ラインで製造した食品をフランチャイズ加盟店に卸しています。
これがコメダの原価となるのは、製造原価となるのです。
直営店型のビジネスモデルのセオリーとして、食材原価を30%以下に抑えることがあります。
地代家賃や人件費という販管費がどうしても重くなり負担おなりますが、自社工場を持っているコメダは、製造原価を下げることは難しいとしても、その代わりとして、店舗運営にかかる経費を減らすことにより、バランスを保っているのです。
このような他店とは違うカフェビジネスモデルがあるからこそ、コロナ禍という状況においても、差が生じたというわけです。
このようなコメダ珈琲店独自のビジネスモデルがしっかりと確立されているわけですが、コメダのフランチャイズ加盟店オーナーは、閉店防止に全力注がねば、ならないという状況に追い込まれるわけです。
もちろんフランチャイズというビジネスモデルは、コメダに関わらず、フランチャイズオーナーは、自分の店を当然、潰さないように日々、必死に運営はしていますが。
カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは③【差別化されたコンセプト】
「カフェ業界で圧倒的強さを誇るコメダのビジネス戦略とは」というテーマで3つ目に取り上げるのは「差別化されたコンセプト」です。
他の珈琲チェーン店とは異なる独自のビジネスモデルによってカフェ業界でのポジションを確保するコメダ珈琲店ですが、他とは違う点とは、何か?
具体的にふれていきましょう。
コメダ珈琲店の特徴としては、いわゆる「カフェスタイル」が多い中で、コメダが目指すのは、「喫茶店」です。
喫茶店というと、響き的にも、古き良き日本の文化を感じさせますが、おしゃれな雰囲気のあるカフェに比べて、ゆっくりとした時間が流れるような雰囲気があるのが喫茶店です。
ゆっくりと、珈琲を楽しむ時間を提供するのが、コメダのコンセプトの役割であり、地域の人たちがゆったりできる場所を提供する ことが、そもそものコンセプトなのです。
しかし、コメダは喫茶店と言っても一般的な普通の喫茶店ともまた違い、差別化されているのです。
では、いったい何が違うというのでしょうか?
一般的な喫茶店または飲食店などが気にしているのは「回転率」なんです。
どれでだけ、多くの顧客を取り込み、限られた営業時間の中でどれだけ回すことができるのかというわけです。
飲食店の売上というのは、次のような式で成り立つと一般的には考えられています。
回転率というのは、顧客数の1つの分解要素となるのです。
顧客数をさらに分解すると次のような式が成り立ちます。
わかりわすく言えば、回転率が30分と2時間では、顧客の入れ代わりが変わりますから、それが1日あたりの売上に影響するわけです。
単純に計算すると8時間営業が基本として、
- 回転率30分:16組
- 回転率2時間: 4組
これだけの差があるのです。
回転率が低くても商品単価が高ければ、もちろん問題ないのですが、フランチャイズの飲食店の場合、広いターゲット層を相手とするため、商品単価は、高くはできないのです。
顧客はコスパを求めるわけですから。
そのようなわけですが、コメダの戦略は、決して「回転率」 を重視しているのでは、ありません。
スタンス的には、この逆であり、顧客には、お店にできるだけ長居してもらいたいスタンスをとっているのです。
これは、非常に驚くべきことで、飲食業でセオリーとされている回転率を上げるのではなく、下げることを大切にしているわけです。
確かにほとんどのカフェが回転率を意識しているなら、それとは違う方向性を出すことにより、他社との差別化ははかれるわけですが、独自性というのは保てるわけです。
この考え方というのは、実は非常にシンプルなのです。
顧客に長居してもらえる場所を提供することにより、リピーターを増やそうという狙いがあります。