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皆さんの中で介護業界で人材採用を行っている方もいらっしゃる方も多いかと思いますが、人手不足の中、売り手市場の介護業界で人を集めるのには大変苦労されているのではないでしょうか。そこで私がかつて行ってきた求人の応募率を上げ、離職率を下げた方法をお教えします。

介護業界の人材不足を打破する方法!マーケティングと集客

私は数年前にある大手介護会社の人事部において人材採用を任されておりました。皆さんもご存知のように現在の日本においては様々な業種において人手不足が叫ばれており、特に介護業界における人手不足は群を抜いており、それまでの人材採用のノウハウに頼るだけでは限界があるということで、その会社の経営者からそれまで広告やウェブマーケティングのコンサル経験のあった私に声がかかり、採用業務全般を任されることとなったのです。

まず取りかかったのは「マーケティング 3C分析」

そこでまず私は売り手市場であるこの介護業界においての3C分析という方法を行いました。

3C分析とは、マーケティング環境分析のフレームワークとして使われておりCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3点から企業経営を見直すことで自社の現状の立ち位置を再確認し、自社のドメインなどを再定義する、もしくは戦略を見直すツールのようなものです。

 

実はこの3C分析は経営戦略だけではなく人材採用にも活用することができます。なぜならば、一般の消費財の原材料の仕入れ~製造~販売までのプロセスと人材の採用~教育~活用までのプロセスは全く同様だからです。

3C分析を行ったところ、まずCustomer(市場・顧客)ですが、当然ながら、超高齢化社会と言われる現在の日本において、

  • 介護の現場で働く人材は年々人手不足となってきており、よほど待遇改善を行わない限りは人手は増えていかないこと、
  • 売り手市場だけに、他の業種・職種と異なり転職を繰り返しても常に勤め先があるという状態のため、ちょっとしたことで、すぐ離職してしまうということ

がわかりました。

これは企業にとってはとてつもない損失となります。

なぜならば、採用した人材にかかるコストは給与コストは他の職種よりはかからないのですが、採用コスト・教育コストがとても大きく、何よりも一度人が抜けるとその穴を埋めるために、現在の人員で無理して回していかなければならず、その時間が長ければ長いほど、現在の人員の体に負担がかかり、また離職者が増えるという悪循環が起こるからです。

そしていずれ精神的・肉体的に疲弊した従業員のサービスが低下するのは目に見えており、サービス提供側だけでなくサービスを受ける側にも不満を与えることになり、運営施設の閉鎖から最終的には企業の倒産というところに行き着きます。

私はこの点が一番重要なところであるということは事前にわかっておりましたが、他の業界よりもその被害が深刻であることを再認識しました。

その他、Competitor(競合)においては独自の領域においてリーダーとなっているため、知名度・競争力が高いことがわかっておりましたので、これは問題ないと思いましたし、Company(自社)の点では財務内容・経営・管理体制なども問題なく、採用や教育にかける予算も十分持っておりましたので、人材の採用・教育さえ潤滑に行けば10年先・20年先も安泰だろうと思われました。

そこでまず私が行ったのは、採用において自社のビジョンを明確にし、それを抽象化したデザインとメッセージとして全てのコミュニケーションツールに反映させる方法でした。

 

なぜならば、これも実際に採用面接や現場の人たちにヒアリングを100回以上行って得られたものですが、一部の人を除いてこの仕事に就こうと思う人のほとんどが何らかの形で社会貢献したいという人たちばかりだからです。

確かにリストラされた中高年が行き場がなくなって応募し、働いている人もいます。しかし、そのような人でも介護業界と同水準の収入を得られる職業は他にもあるのにこの業界に入ろうと思うのはやはり、人よりもホスピタリティーの高い人が多いからと推測されるのです。

大事なのは、ブランドの再定義とメッセージ化

まずは経営企画部、広告宣伝とともに打ち合わせを行い、自社の理念・ビジョンと合わせたブランドの再定義とメッセージ化・抽象化したデザインを名刺やパンフレット・ホームページ・採用ツールなどに統一的に使用しました。

また、それを管理者から現場まで落とし込み、それで覚えるくらい徹底的に暗唱させ、新卒・中途問わずセミナーから面接など全ての場面で全ての応募者にこのメッセージを伝えるようにしました。

そのほか、採用広告の見直しも行いました。

それまで漫然と使用した新卒向け、中途採用むけの求人サイトの予算と掲出頻度、広告内容など全て見直しした上で、採用効率の悪いサイトは契約更新をストップし、その予算を採用効率の良いサイトに集中するようにしました。

原稿内容を一新し、再定義したブランドメッセージやビジョンなどをメッセージとして強調するだけでなく、オプションとして広告ランクを上げたり、バナーやメールマガジンにもそのメッセージを言葉と抽象化したデザインで最大限発信していきました。

また、応募率を下げ、離職率を上げる大きな原因だったのが、辞めた人間などがウェブサイトに会社の誹謗中傷を上げていたことだったこともわかりました。これも消す作業を外部の会社に依頼し、全て消していきました。

結果は半年で出ました。

すでに応募率・採用率は前年の200%以上を超え、それに比例するかのように離職率も低下していきました。

1年後もその数字は維持し続け、私がその会社を離れた今でもその会社は働きがいのある会社ランキングに名を連ねています。

おそらく私のしてきたことは誰もが頭の中でわかっていたことだとは思います。ただ、根拠を示し、行動を起こすために経営分析のフレームワークを利用しただけのことだと今では思っています。

まとめ

いかがでしょうか。介護業界においても経営分析におけるメソッドは活用できます。漠然と認識してはいるが行動に起こせない場合の再認識から再定義の方法としてぜひ実践してみてはいかがでしょうか。


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