世界の「マクドナルド」と言えば、誰もが一度は食べたことがあるほどのメジャーなファーストフードです。そんなマクドナルドもこれまで低迷期を迎えたこともある中でのV字回復を実現しました。
そんなマクドナルドのマーケティングと経営戦略を紐解いていきましょう。
低迷からV字回復まで、様々な時代を乗り越えてきた「マクドナルド」
世界的なファーストフードブランドとしてワールドワイドな人気を誇る「マクドナルド」。その手軽さとコスパの良さから、一度は食べたことがあるのではないでしょうか。
マクドナルドの国内売上およそ4,384億円、年間来客数約13億人という巨大なビジネス規模を誇っています。日本では、遡ること48年前、1971年7月20日に一号店として銀座店がオープンします。
それから、瞬く間に店舗を拡大し日本の食文化に大きな影響を与えました。
そんなマクドナルドも企業経営は神風満帆というわけではありませんでした。2011年当時、過去最高益を記録したのをピークに業績は下降線をたどることとなり、2015年12月期には、ついに347億円という巨額の赤字という低迷ぶりとなったのです。
この低迷には、食肉賞味期限偽装問題が一つのきっかけとなっただけでなく、悪質な労働環境が発覚したり、様々な問題が起こったことに原因となりました。
コスパ重視のマクドナルドの抱える闇は想像以上に大きかったのです。
マクドナルドの他にも外食産業では食品偽装問題や衛生上の問題など、飲食業には様々な問題が存在し飲食業全体に対する世間の不信感は存在していました。
そんな中でマクドナルドは、マスコミからのバッシングによる悪評や噂による客離れ、さらには「ビジネスモデルの賞味期限ギレ」、揶揄され長い低迷期を迎えることになります。
そんな状況の中から、新たな戦略プランを次々と打ち出しV字回復へと繋げたのです。
様々な取り組みによる改革の後、経営状態が上向きになってから、2017年12月期には、ついに過去最高益を更新したのです。現在では、顧客からの信頼もすっかり取り戻し、かつての輝きを取り戻しました。
一時期の低迷期を抜け出し、マクドナルドのとった新たな経営戦略とは、どのようなものだったのでしょうか。
そんなマクドナルドのアイデンティティとは「遊び心」。様々な問題からバッシングを受けていたことから、マクドナルドは「遊び心」をすっかり忘れていたのです。
低迷期の頃の経営戦略は、非常に保守的なものでヘルシー志向を前面打ち出したセーフティーな戦略となっていました。マクドナルドにとって無難な戦略は、さらに低迷を加速させる原因となってしまったのです。
ちなみにマクドナルドがライバルと意識しているのは、他店のファーストフード店舗や外食産業ではありませんでした。マクドナルドがライバル視しているのは、あの「東京ディズニーランド」なんです。テーマパークであり人を楽しませるディズニーランドがライバルとは意外な感じもしますが、理解できる一面もあります。
その考えは、顧客を常に楽しませたいと思う商品やサービスを提供し続けたいという思いからなのです。
マクドナルドの経営戦略転換。「デジタル活用」
これまでのマクドナルドのマーケティング的戦略のメインは「TV広告」でした。「TV広告」は繰り返し流され、多くの人に注目してもらうには、手っ取り早い手段ではありますが、巨額な費用がかかることも1つの事実です。
そんなメジャー企業ならではの戦略をとってきたマクドナルドがマーケティング戦略を転換したのです。その中で変化を見せたのがデジタル活用。
現在では、メディアや情報の発信媒体の主役となっているのがインターネットです。テレビに変わる情報媒体として現代でしネットの影響力は相当なものです。
一方通行である「テレビ」に対し、インターネットは双方向でのやりとりが可能です。その特性を利用したマクドナルドがとった手段は「コミュニケーション戦略」です。
新商品の宣伝や大規模なキャンペーン展開を行う際に様々なネット媒体での活用を重要視したのです。さらにプレスリリースの数を多くするようにしたのです。
その理由となるのが近年のメディアの変化を読んでのものです。これまでメディアをリードしてきたテレビ、ラジオなどのマスコミ広告の影響力低下が影響しています。
さらにスマートフォンの普及により、消費者の情報取得がモバイルにシフトしてきたことにも関係しています。
さらにウェブの世界で言えばホームページよりもスマホアプリへとシフトしているなど、情報の取得源が変化していることも影響しています。そのような事情からデジタルマーケティングの活用は必然のことでした。
マクドナルドが新たに仕掛けた戦略としては、次のようなものがあります。
- 楽天、ドコモと連携したポイントカードプログラム
- 店舗のWi-Fi
- セルフオーダーKiosk
- デジタルメニューボード
- 全店舗へのBeaconの設置このようにマクドナルドのデジタル利用は多くの改革として店舗経営に変化を見せました。デジタル活用の目的は、更なる認知度の向上と、店舗利用における顧客の満足度を充実させる為でもあるのです。