時代の変化によって変わる意識や価値観。その中で岐路にたたされているのが日本の農業です。
前編に引き続き様々な角度から現状を分析し最新の「農業」をビジネス的に考察していきます。
というわけで今回は『最新マーケティング事情「農業ビジネスの新時代」【後編】』というテーマで詳しく解説していきます。
最新マーケティング事情「農業ビジネスの新時代」④ 農業経営の現状
農業経営の現状について触れてみましょう。
2017年の状況をまとめてみました。
上記の通り、この現状を見ても組織経営に対し家族で経営しているいわゆる農家といのが、圧倒的多数を占めているのです。
近年になり農業法人とし組織経営をしているのは、増加したといってもたったの3万を超える程度なのです。
農業=会社組織という図式は、まだはじまったばかりの取り組みで、さらなる変革が必要なのです。
この結果を見て、個人と法人との圧倒的な差は、現実として受け止めるしかないのですが、ここまでの比率の差を全うにとらえるなら、日本の農業はかなりの危機感を感じずには、いられないのが現状です。
やはり、農業の歴史は古く昔からの制度や風習を変えていくのは、実際のところ難しいのです。
実際に現在、家族経営で行っている農家の高齢化も問題となっています。
近年では若い世代にも注目されている農業ではありますが、まだまだ一般的には職業として選択することは、少ないのが現状です。
家族経営と法人経営とのギャップを埋めるべく、法人のみに与えられるメリットや施策も積極的に仕掛けています。例えば補助金制度や特例などがあります。
また次世代の農業従事者ではなく、農業経営者を育む取り組みも行われています。
最新マーケティング事情「農業ビジネスの新時代」⑤ 農業を法人化するメリット
具体的に農業を法人化することによりメリットとは、いったいなんでしょうか?
組織経営することにより、社会保険や厚生年金加入など福利厚生面での充実を図ることができます。
こうした雇用面での条件は、人材確保の面でも有利になります。そして雇用を促進することも社会的なメリットと言えます。
また法人化することによる最大のメリットとされるのが、法人登記により信用力がアップするということです。
これによって金融取引がスムーズに行えることから、事業拡大のチャンスも広がるというわけです。事業が拡大することにより、販路も広がり、企業としても安定した経営を行うことが可能となります。
個人と法人では決算についても違いがでるのも魅力の1つです。
家族経営の農家は、個人事業主となります。その為、決算期は決まっています。
それに対し法人では自由に決算期を決められることも大きなメリットとなります。
上記の通り農業を事業として法人として行うことには、様々なメリットがあります。
国としても農業の法人経営を促進し農業者の所得を増加させたい意向があります。
この先の「農家」に対して求められていることは、いかに良質な農産物を生み出すかも含め、さらに経営感覚を身につけるということが必要とされています。
つまり、単なる農業従事者として終わるのではなく、経営者的感覚が必要になるということなのです。
最新マーケティング事情「農業ビジネスの新時代」⑥ 農業を変える為には?
では、具体的にこれまでの農業従事者が変わっていくには、何が必要となるのでしょうか?
意識改革でしょうか?もちろんそれも必要です。
さらなる農業知識や経験でしょうか?それも確かに必要です。
しかし、全てをオールマイティに一人でこなす必要はないのです。なぜなら法人だからです。
法人は、適材適所の人材を揃え、それぞれのポジションで能力を発揮してもらうことができます。
これが、法人の最たるメリットです。
経営者として必要なのは、緻密な経営戦略やマーケティング調査力ではなく、会計の強化なのです。
農業を事業として成立させるには、利益を安定させる必要かあるのです。
売上、税金、経費、収支などを把握し理解する知識が必要なのです。
このようなことから、実は農業を組織経営するには、実は農業そのものの知識は特に必要ないのかもしれません。
農業を1つのビジネスとして考えれば、事業家センスのある人であれば農業をビジネスとして発展させられる可能性も十分にあります。
むしろ他業種からの参入のほうが、物事を客観的に判断でき、違う角度から見渡せることで、従来とは違ったアイデアも浮かぶ可能性もあります。
実際に現在も他業種からも農業への参入は、既に始まっています。
AIやRPAなど自動化の進み現代において、今後の職種にも変化が訪れます。
そんな時代にこそ原点回帰と方向転換によりビジネスとして新たに行う農業は、非常に魅力的な産業と言えるでしょう。
農業の世界にも機械化は、確実に進んでいます。
今ではトラクターをはじめとした農機具の無人化、自動制御化も進んでいます。
無人化により収穫なども全て機械化になれば、人手不足の解消と生産力の効率化、向上化など様々なメリットか考えられます。
近い将来には、プログラミングによっての生産管理や自動システムなど、農機そのものの取り組みも変化していくことでしょう。
テクノロジーの進化を活用した農業戦略の前に、農業に取り組む体制や考え方を改めていく必要があります。