「メルカリ」と言えば、フリマアプリを提供し運営する事業を展開していることで知名度も高まってきました。
そんなメルカリが新たな経営戦略として、サッカーJリーグの名門「鹿島アントラーズ」の経営権を取得しました。
意外とも言えるこの経営戦略を進める「メルカリ」の狙いとは?いったいなんでしょうか?
今回はそんなメルカリの経営戦略について触れてみます。
メルカリの取り組む新たな経営戦略
インターネット上のフリーマーケットサービスを展開する「メルカリ」。
今ではすっかりお馴染みのサービスとして認知されています。
ネットオークションやフリーマーケットは、いくつもありますがメルカリが多くの人に利用されている理由とは、アプリそのものの使いやすさ、そしてサービスの手軽さが評価されています。
そもそもメルカリは「スマートフォン」でのやりとりを前提としたサービス提供というコンセプトでスタートし、これが上手く時代にマッチした形となり業績を伸ばしています。
そんなネットサービス事業のメルカリがサッカーJリーグ一部の名門チーム「鹿島アントラーズ」の経営権獲得という新たなビジネスプランを2019年7月30日に発表。
既に今季のJリーグはスタートしており、リーグは中盤戦へと入っていく段階ですが、このタイミングでの発表は世間を驚かせました。あのメルカリがプロサッカーリーグの経営に参戦するというのは、意外なこととしてとらえられた感もあります。
企業とスポーツは深く関係があります。サッカーだけでなく日本では古くからプロ野球も企業との関連が強いです。さらにプロスポーツのみではなく、アマチュアの社会人チームを持つ企業もあるように、企業とスポーツの果たす社会的役割というものは非常に大きいものがあります。
エンターテイメントととしてのプロスポーツと企業ブランドを広める企業の双方にメリットがあることは間違いありません。
メルカリと鹿島アントラーズの関係
「鹿島アントラーズ」と「メルカリ」の関係は、実はそれほど古くからではありません。メルカリ自体が比較的新しい企業であることから当然といえば当然です。
「メルカリ」が設立されたは2013年のこと、今からたった6年前のこととなります。初の黒字となったのは設立から三年後の2016年。
翌年の2017年4月より「鹿島アントラーズ」とオフィシャルスポンサー契約を結び、それ以来「鹿島アントラーズ」をサポートしてきました。
それから2年後の今年、ついには「鹿島アントラーズ」の経営権を獲得し、今後本格的にチーム運営に関わっていくということなのです。
「鹿島アントラーズ」は、Jリーグの中でもこれまで数々のタイトルを獲得した名門クラブで、多くの有名選手も所属しました。
特に有名なのは、元ブラジル代表の背番号10として活躍、後に日本代表監督にも就任したジーコがチーム創世記に選手として所属し活躍しました。
プロチームとして28年間という歴史あるチームで日本を代表する強豪チームでもあります。
そんな「鹿島アントラーズ」をこれまで長きに渡りを支えてきたのは「日本製鉄」でしたが、「鹿島アントラーズ」の運営会社から発行済株の61.6%をメルカリが取得したことによって経営権を獲得したのです。取得金額はおよそ15億9700万円とされています。
見ようによっては鹿島アントラーズの身売りともとれる今回の親会社の変更、そして経営者となったメルカリには、どんな狙いとメリットがあるのでしょうか?
約16億円という大金を投入してでも日本屈指の名門チーム「鹿島アントラーズ」のオーナーとなったメルカリは、チームそのものに、またリーグにとってどんな影響を与えるのか興味深いところです。
このところのJリーグは、有名企業が相次いで参入しています。同じインターネットサービス関連事業を行う「楽天」もヴィッセル神戸の親会社として、チームに大金を投入しています。
「楽天」の場合は、サッカーチームの他、プロ野球の「楽天イーグルス」を持つなど、スポーツ事業には以前から積極的に参入しています。
メルカリが「鹿島アントラーズ」の経営権を獲得した理由とは
最近のJリーグが企業から注目されるようになったのは「DAZN」との大型契約によるものです。これによりリーグやチームの価値やブランド力は以前と比べて向上したのです。
このDAZN参入はJリーグにとって大きな影響力を与えました。賞金そのものの増加はチーム運営そのものを変える大きな原動力となり、それがリーグのブランド力を高める要因ともなりました。
その為、Jリーグやチームそのものが新たなビジネス展開を望む流れとなっていったのです。
サッカーリーグとしてのブランド力の向上により、更なるファンの拡大、売り上げ増、新たな事業展開など様々な可能性を感じさせるようになったのです。
そんな変革の風がリーグ、チーム、企業の3つに吹き込む中で、それぞれのメリットが一致したということから、メルカリがサッカーチームの運営に参画することになったのです。
企業にとってプロチームの親会社となることは、それだけでも既に企業価値を高めることとなります。またメルカリとしてのターゲットの拡大を単純に狙っていることも理由のひとつです。