「成人」は、社会的な責任を負うことになり、1人の社会人として自覚して生きていく必要があります。
そんな「成人」の年齢引き下げによる社会や市場、マーケティングへの影響を今回は考察してみました。
140年ぶりの法改正
社会の一員として生きていく以上、一定のルールに従い生きていく必要があるのは当たり前のこと。
そのルールとは「法律」です。法律は時代の変化に合わせ改正されるもの。
改正するには、様々な意見交換や話し合いを重ねることで多くの時間を要します。
そのような事情からリアルタイムでのニーズとのタイムラグが起こってしまうことがネックとなります。
しかし法改正となれば慎重に議論を重ねることは、仕方ないことなのかもしれません。
そんな法改正で140年ぶりの改正となったのが、成人年齢の引き下げです。
これまで日本での成人年齢は20歳とされてきました。それが18歳へと引き下げられるのです。
施行は2020年からとなり間近に迫っています。
成人年齢20歳が制定されたのは、明治9年に太政官布告により制定されました。
これまで当たり前とされてきたことが変化することで、社会全体、市場やマーケティングにも影響を与えることは必至です。
特に転換期には、一時的な特別対応も起こることは、想定され施行後、落ち着くまでには数年を要するのではないでしょうか。
法改正を受け、これまでの常識が変わるわけです。ビジネスやマーケティングにおいても、様々な規制を受けることにより対応を迫られる必要も当然あり得ます。
今回の成人年齢引き下げによって、新規顧客層の獲得などビジネスチャンスとも言えるきっかけとも、取れます。
世の中は「法」を基準に進んでいます。これまでの成人=20歳という決まりごとは、今から140年前の時代観点から決まられたことについて考えれば、変化の激しい現代にはマッチしていないのかもしれません。
実は「法律」は、成人年齢と同じく今から100年以上前に作られたものが、他にも多数あるのです。
これだけの情報社会の中で「常識」とされている法律だけが、取り残されていることも存在しているわけです。
つまり、現在の時代に適応していない常識は、実質、非常識であることを認識しなければなりません。
成人年齢の引き下げの目的
今回の成人年齢の引き下げは、20歳から18歳への引き下げとなります。
つまり、ほとんどが学生ということになり、保護者の管理下となります。
更に改定されたのは、女性の結婚できる年齢です。こちらは、16歳から18歳までに引き上げられます。
それらの変更以外で変わらないこととして、飲酒・喫煙・公営ギャンブルについては現行通りが適用となります。
この成人年齢を世界的に見てみると実は20歳で成人というのは、珍しいくらいなのです。そうしたことから、日本も世界基準に合せた形となります。
そして今回の法改正に至った背景とは、いったい何だったのでしょうか。
最もな理由としては、時代のニーズにマッチしたことが理由です。
しかし、この理由は理解はできるものの具体的には抽象的でわかりにくいですね。
関係しているのは、日本の社会構造の変化が原因となります。それが人口問題です。
日本の世代別に見る人口バランスが極めて悪いことは周知の事実です。
この問題は、これから更に社会全体に対し表面化していきます。
日本は少子高齢化、晩婚化、非婚化と社会構造の変化が著しい時期を迎えています。
成人年齢を引き下げることにより、増加するのは成人人口です。
つまり、成人人口の増加が目的なのです。これによって関わるのは「税金」です。
「成人年齢の引き下げ=税の徴収年齢の引き下げ」となるのです。
確かに時代のニーズに合せた形の法改正ではありますが、逆に考えれば、国が考えた苦肉の策とも言えます。
今後、更に高齢化が進むことがわかっています。介護の必要性は高まり、労働人口は減少します。それでいて、未来を担う若者が少ないわけですから、誰が国を支えていけばよいのでしょうか。
世界にも例のない超高齢化社会となった日本では、今後さらなる社会保証の必要性も高まるでしょう。国としての取り組みとして財源の確保は急務となります。
成人18歳のメリット・デメリット
このように成人人口を増やすことにより、税金の義務化とされます。
納税者は大幅に増加となり財源確保というメリットの他に、デメリットもあることは考慮しなければなりません。
具体的には次のような点が上げられます。
- 詐欺被害の拡大(クレジットカードが作れるから)
- 契約関係でのトラブルの拡大(ローン契約が行えるから)
- 少年法(20未満)との年齢差の問題
このように成人とみなす点とそうでない点とでの問題が起こりえます。
特に知識不足によるトラブルの増加は懸念事項とされます。
今回の成人年齢の引き下げにより、悪質な詐欺行為や事件が発生されることも予測されます。
しかし前向きに考えれば、今回の改正をきっかけにより新たなニーズが必ず生まれるわけです。
そのニーズに応えた商品やサービスを開発しビジネスとして成り立たせるチャンスでもあります。