スマホの普及により若者を中心としたテレビ離れが叫ばれる昨今において、独自路線を歩み最近話題なのが「テレビ東京」です。
様々な話題を振りまく番組を制作し快進撃を続ける「テレビ東京」の今と経営戦略について迫ります。
独創的な番組を作り出す理由とは?
今やメディアの中心はテレビからネットへ移り変わろうとしています。
夕飯の食卓ではテレビを見ながら憩いのひと時を過ごすという光景よりも、家族それぞれが思い思いにスマホの画面見ながら食事をとる光景もかなり増えてきました。
テレビ離れと言われている現在で、テレビ局各局も番組制作には頭を悩ませています。そんな現代において、独創的な人気番組を生み出し最近何かと話題になっているのが「テレビ東京」です。
「テレビ東京」は、これまで「5強1弱」の「1弱」枠として揶揄されるなど弱小テレビ局のイメージが長年定着していました。
そんな「テレビ東京」ですが、この時代において番組そのものが面白いと話題になっているのです。流行の移り変わりの激しい情報社会においてテレビ局が生き残っていくには、これまでと同じことをやっているだけでは、生き残るのも難しい厳しい状況と言えます。
そのような時代背景にも関わらず「テレビ東京」が脚光を浴びる理由は、番組そのもののが単純に面白く評価されてるからに違いありません。
「テレビ東京」が今、独創的で支持される番組を作れる理由とはなんでしょうか?答えは「無ければないなりに」です。テレビ東京は、自らの弱点を補うことで番組作りに反映しているのです。つまり逆境を逆手にとった番組制作を行っているのです。
経営戦略、営業戦略としての「テレビ東京」の姿勢は、全くブレていないということです。そして番組制作のコンセプトととしては、ニッチな市場を常にターゲットとしていることです。
これはビジネス戦略においても、マーケティングの面でも良い参考になる事例と言えるでしょう。
独自路線の成功と他社との差別化
「テレビ東京」の独自路線、そしてプレない姿勢に見えるのが他社との差別化をはかるという意識です。「テレビ東京」の特徴のひとつであるのが「経済路線」です。
民放のプライムタイムの時間帯の報道メインとは、一線を画す「経済重視」路線は「テレビ東京」ならではと言えるでしょう。中でも『ワールドビジネスサテライト(WBS)』は、他社との差別化を代表する看板番組となり成功しています。
経済をメインとしたニュースや独自の調査結果、マーケティングを中心とした番組作りは、経営者やビジネスマンにとって多くのヒントを与える番組として注目されています。
また『ワールドビジネスサテライト(WBS)』の他、テレビ東京と言えば、経済企業ドキュメンタリー番組の「日経スペシャル ガイアの夜明け」と「カンブリア宮殿」の2大経済番組も成功しています。
この2大番組も既に「テレ東」の顔とも呼べる長寿番組となり人気を博しています。更に経済路線はドラマ制作にまで派生しました。
それが「ドラマBiz」です。このドラマは「働く人たちをテーマ」とした大人路線の骨太の経済ドラマです。放映時間も月曜の夜ということで、週のはじめの活力となる時間帯にオンエアすることで、働く人たちのモチベーションアップに貢献しています。
このように「テレビ東京」は「経済」という明確なコンセプトを局をあげて全面に打ち出すことによって他社との差別化をはかり、強みを作り出したのです。
抵コストでの番組制作を強みに変えるその姿勢
「テレビ東京」の番組制作の特徴と言えるのが「低コスト」です。多局と比較して「テレビ東京」の番組制作予算はかなり下回るのが事実なのです。差別化をはかる為の独自路線の上に、「低コスト化」という一面も「テレビ東京」に課された課題であり特徴でもあります。
番組制作費を調べてみると、多局では1000億円とも言われる番組制作費がテレビ東京では、その半分以下の400億円弱ということのようです。つまりお金がないのです。前提としてそのような状況から番組制作をすることが義務付けられているならば、使えるものは「知恵」を出すしかありません。そのような考え方が、テレビ東京での番組制作において脈々と受け継がれているのです。
言ってみれば、これは想像力を最大限に活かし、考える能力を高めていることになります。つまりクリエイティビティな能力を常日頃から活用することに慣れているのです。そんなスタイルや思想が面白い番組を作る理由となっています。
低コストの中でも、面白いとされる番組としては、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」や「家、ついて行ってイイですか?」などが代表的なところです。この人気番組2つについては、まさに限られた予算内で考えた挙句の企画重視の番組と言えるでしょう。
特に「家、ついて行ってイイですか?」は、素人参加型の番組としては異例の面白さと、個性、ドキュメント性など様々な要素を含めたミクスチャー的番組として異彩を放っています。
更に最近では、アニメやドラマなどにも力を入れており、数々のヒット作を生み出しています。社会現象ともなったアニメ「ポケモン」やドラマ「きのう何食べた?」など人気コンテンツも多数揃うようになりました。