営業をしていると顧客から無理なお願いをされることがあります。
営業としては顧客の要望には最大限に応えたいと思うところですが、全て断らずに受けていては良い営業とは言えません。
ある程度は断って出来ることと出来ないことの線引きは必要です。
営業の悩みの種となる顧客からの要望の断り方についてお伝えします。
目次
顧客に断らないことのリスク
営業にとって顧客は大切な相手であり、できることなら顧客の要望は断りたくないと思っています。
顧客の要望で多いのは次のものでしょう
・値下げ交渉
・納期の短縮化
・特別な条件設定
・支払期限の変更
これらを求められた際に全ての要求を飲んでいると営業が成り立たないリスクの方が大きくなっていきます。
営業成績をあげるために良かれと思ってやったことが逆効果になってしまうのです。
自社の商品の価値が下がる
顧客から要求されることで最も多いのが値下げについてでしょう。
料金交渉は一般的ではあり、営業努力として対応できる範囲であれば構いませんが度が過ぎるものはもはや交渉とは言えません。
強引な値下げ交渉に応じることは自社の商品価値を下げることになります。
値下げを認めるということはそれだけの価値しかないということを認めてしまっているのと同じことです。
受注したい気持ちはわかりますが、本来の価値で提供できないのであればあまり意味がありません。
同様の理由で値下げに応じることができる場合も即答はせずに、少し時間をかけて提示するようにしないと最初の提示額は何だったのかということになります。
顧客と正常な関係が結べなくなる
顧客からの要望を断ることができずに一方的に受けてばかりいると、顧客との関係性が崩れることになります。
元々が発注者と受注者の関係ではありますが、それは双方が納得した契約でのビジネスパートナーとして成り立っています。
ですが、顧客の言いなりになるとそれが主従関係になってしまい弊害を生みます。
一度受けてしまったことはもう断ることができず、さらに難しい要求をされることもしばしばです。
歪な関係が日常化すると契約を打ち切ることをチラつかせられて何も言えなくなってしまいます。
最終的にはこちらからの提案も顧客は聞き入れないようになり、結果として誰も得をしないということにもなっていきます。
他の顧客に波及する恐れがある
どんなに契約内容は社外秘だとしても噂というものはどこかから流れるものです。
特定の顧客の言うことを断らず、優位な契約をしていることがわかれば他の顧客も同じことを求めて来るのは必至です。
そうなると最早仕事になりません。
イレギュラーな契約の方が当たり前となってしまい、会社の経営戦略にさえ影響を与えかねません。
顧客の言いなりでは営業とは言えない
営業の仕事には提案と受注をすることだけではなく、顧客をコントロールすることも含まれます。
顧客の言いなりになっているようでは営業の仕事をできているとは言えません。
交渉があってこその営業
営業は商品を売ることになりますが、そこに交渉が入ることは当たり前です。
顧客に言われた通りの条件で仕事をしているのは当然問題ですし、一切何も聞き入れないのも考えものです。
営業の仕事は交渉の場面でうまく話を着地させて顧客を満足させつつ会社の利益を守ることです。
顧客と自分の会社のどちらかの主張をそのまま通すだけなら誰にでもできます。
交渉の場面でこそ、営業としての自分の価値が試されると思ってください。
顧客も本気で言っているわけではない
顧客から無理を言われた時に覚えておいてもらいたいのは、顧客も本気で言っているわけではないということです。
言うだけならタダだからということでとりあえず無理を言ってみて代替案で少しお得な提案を受けられればもうけものという感覚です。
本気度が低いと思ったら冗談として受け答えをすることも営業には必要なスキルです。
営業経験が浅い相手に対して試しているというケースもあります。
自分で判断がつかない場合は上司や経験豊富な先輩に相談して適切な対応をしてください。
1度甘くみられてしまうと今後関係を変えるのが難しくなってしまいます。
稀に本気で無理を言っている顧客はいます。
そういった相手はどこかで見切りをつけていつまでも追わないことも大切です。
コンビニなどのお店でも「お金がない相手なら売らない」は普通のことです。
断り方の方法
営業をしている中で断ることが必要にはなりますが、無下に断るのは心証を悪くします。
いかに相手の気分を害さずに断るかが営業テクニックであり、それが出来れば気まずい想いをする必要もありません。
交渉した形跡は残す
顧客の要望を断る際にあまりすぐに断るのは失礼になります。
検討したり会社に相談した結果としてやむなく断っているということをアピールするために、少し時間を置いて回答することは演出として必要です。
仮に持ち帰って即時に会社で却下されたとしてもしばらく寝かせた方が角が立たないこともあります。
絶対に出来ないことはその場で断る
交渉の形跡を残すことは大事ですが、逆に絶対にできないことは期待を持たせない方が良いです。
どう考えても無理なことはその場できっぱりと断らないと、顧客は「もしかして出来るのか」と期待してしまい断った時の失望が大きくなります。
代替え案で落とし所を見つける
無理なものは無理なので断ることは必要ですが、営業としての仕事をするなら代替案の提案はしなければなりません。
・この条件であれば値下げはできる
・納期を分けて
・プラン内容の見直し
・軽い要望だけ飲む
上記のように何かしらの再提案を行うことで双方が納得できる落とし所を見つけていきます。
代替案を受け入れるかどうかは顧客次第ですが、自分にできる最大限のことをしなければなりません。
また、少し調整すれば出来る部分だけでも受けて何でも断るのは避けましょう。
良い断り方をしないと断った後は関係が断たれることになってしまいます。
会社のせいにする
少しズルいやり方ですが、断る際に会社のせいにしてしまうのもテクニックの1つです。
自分としては出来る限りの手は尽くしたが、会社のルールでどうしても曲げられないとして謝るのです。
断った部分は改善要望として会社に提出するとして、その場を終わらせてしまいます。
顧客との関係性ができていれば納得してもらえる可能性は高いです。
まとめ
顧客の要望を断るのは勇気がいりますがやらなければならないことです。
交渉の席ですので顧客も断られることは織り込み済みですので恐れずに言わなければならないことは言うようにしましょう。
そうすれば顧客とも対等な関係でいることが出来るようになります。