情報社会の現代というのは非常に混沌とした状況であると言えます。
ビジネスを成功させるためには多角的な観点が必要となりますが、戦略的に考えるなら「ビジネスエスノグラフィ」があります。
というわけで今回は「観察からはじまる戦略、とは」について詳しく説明致します。
観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ①【ビジネスでエスノグラフィが注目される理由】

「観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ」というテーマで1つ目に取り上げるのは「ビジネスでエスノグラフィが注目される理由」です。
情報社会の現在の中で、様々なニーズが存在し、ニーズは尽きることはありません。
これだけものが溢れる時代において、尽きない人間の欲望というのはいったいどこまで対応すれば満たされるのか?というのでしょうか。
現代ビジネスにおけるマーケティングの重要度が高まる今日の要因として、ニーズの多様化があります。
ニーズとは各個人によって全く異なるものであり、考え方そのものが変化すると共に変わり続けていきます。
そんな多様化に対応していくためには、注意深く観察する必要があるというわけです。
様々な思想や考え方がある中でビジネスにおいて「エスノグラフィ(ethnography)」が関わっています。
文化人類学や社会学という考え方は、社会形成や集団行動において大きな影響を与え行動様式を質的データから様々なことを取得します。
ビジネスにおけるエスノグラフィという言葉用いられる時には「ビジネスエスノグラフィ」という言葉を用います。
ビジネスにおけるエスノグラフィが企業や顧客の課題解決となり得るからです。
アカデミックなエスノグラフィのエッセンスそのものが課題の発見となり、ビジネスにおいては非常に有用なものへと変化させられるのです。
ビジネスの場においてエスノグラフィが登場するようになった背景は、人間中心設計が取り入れられるようになり「デザイン思考」という考え方が確立されるようになったのです。
時代的には、1980年頃から1990年代となります。
デザイン思考という考え方は、現代ビジネスにおいて活用要素が多岐にわたるものと認識されつつあります。
このデザイン思考は、右脳的思考とも言われています。
その反対として左脳的思考と呼ばれているのが「ロジカルシンキング」です。
デザイン思考とロジカルシンキングは比べられることが多々ありますが、それぞれに長所短所があります。
「デザイン」という言葉の印象としては、デザイナーなどの職種のようにクリエティブな才能を発揮する人々の特別な職種と認識されがちです。
「デザイン思考」という方法は、いわゆるデザインという範囲のみではなく、考え方としては非常に多岐にわたります。
「デザイナー的思考法」は実はデザイナーのみではなく、ビジネスマンなどにも適応が可能ということから、様々な分野の職種に対して取得すべき技術となったのです。
このような背景がある中で、人間中心としたデザインプロセスの考え方の一つの代表的な手法としてとらえられるようになったのです。
ビジネスにおいての基本は、ニーズを探すことがある意味はじまりだったりします。では、どうやってそれを見つけるか?ということですが、「人を観察すること」がひとつあります。
ビジネスにおいて多用されるようになったエスノグラフィ的な方法論や視点は、主に新商品の開発や新たなアイデアを創成する場合に用いられることとなったのです。
エスノグラフィはシンプルに言えば「調査」のひとつなのです。
行動観察を行うにはアンケートやインタビューという手法がよく用いられますが、それらの調査とは異なり調査対象者が無意識に行っている行動から日常においての様々な課題を見出すことができるのです。
他の調査方法との違いという意味では、エスノグラフィは他の調査手法よりも優れていると言われる理由がそこにあります。
観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ②【行動観察】

「観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ」というテーマで2つ目に取り上げるのは「行動観察」です。
現代において注目を集めるエスノグラフィですが、具体的な理由としては次の2つがあります。
- 無意識的行動発見
- インタビュアーの枠外発想
1つ目の「無意識的行動の発見」とは、調査対象者が意識していない行動というのは実は調査を行っても言語化するのが難しいという一面があります。
そのようなケースに行動観察を通した課題発見が有効な手法となります。
行動観察ならば対象者の無意識の些細な行動を発見するとが可能となるのです。
2つ目の「インタビュアーの枠外発想」とは、インタビュアーが事前に質問を用意していても、インタビューの最中に新たな問いを発見することが多々あります。
それは会話の流れによって浮かび上がってくるものでもあり、インタビュー相手によっても変わってくるものです。
インタビュアーの発想を越えるもの、つまり完全に枠外にあるものから発想することが、いかに難しいことであるかを理解することです。
エスノグラフィでは、調査者が共同体の中に入りこむことによる「参与観察」を行うことが一般的な手法とされています。
しかしビジネスにおいてのエスノグラフィにおいては参与観察よりも行動観察に極めて近い形をとっています。
アカデミックなエスノグラフィに近い形で調査対象者を参与観察するケースもなくはありませんがビジネス現場においては次の要素との関わりが強くなるからです。
- コスト
- 期間
- 人員
これらの要素というのは極めて現実的であり、観察としてはクイックな対応が求められるからです。
インタビュー対象者にリアルな生活を再現してもらえるかどうかがポイントとなり、インタビュアーとしては、対象者と目線をできる限り合わせることが大切となってきます。
対象者には、出来る限り普段通りとしたフラットな状態となり、リラックスした信頼関係の構築が必要となります。
観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ③【消費者の日常に密着した発見】

「観察からはじまる戦略、ビジネスエスノグラフィ」というテーマで3つ目に取り上げるのは「消費者の日常に密着した発見」です。
アカデミックなエスノグラフィとビジネスエスノグラフィでは、そもそも目的自体が異なるため比較すること自体もおかしいのです。
アカデミックなエスノグラフィはコミュニティーや共同体の調査からン真実に近ずこうとしますがビジネスエスノグラフィでは商品企画・開発、マーケティングインスピレーションや新たなアイデアを見つけることが目的なのです。
つまりアプローチそのものが異なるのは目的が違うからであり調査過程を見出そうとすることに対しても差が出てくるのは当然というわけです。
根本的な観点からとらえれば、調査設計自体が変わってくることに注視せねばなりません。
「デザイン思考」と呼ばれる手法は、技術革新としてのイノベーションを様々な分野や産業に影響を及ぼすものと認識されています。
エスノグラフィ自体は、文化人類学、社会人類学における研究、調査手法でもありますが特定のコミュニティにフィールドワークとし参加することにより、対象とするコミュニティ内の人間観察や行動様式観察を行うことで、様々な価値観やコミュニティ構造を抽出していくのです。
このように学術的アプローチを、ビジネスやマーケティングに落とし込むことによって、企業における日常の様々な問題や取り組みに対しての問題解決策となりえるということになるのです。
様々なイノベーションや成功事例が発生することから、近年では多くの企業からビジネスメソッドとして注目されることになっているのです。
アイデアというのは、顧客のニーズと向き合うことによって無意識のニーズにたどり着けることもあります。
斬新かつ利便性に優れた商品を開発すれば、顧客というのはすぐに反応するものです。
その結果、消費者から認知されブランド化していくのです。