新たな年を迎えオリンピックイヤーとなった2020年の日本。そんなこの頃、街でよく見かけることも多くなったのが、Nintendo Switich Lite。
ニンテンドースイッチをベースとした新機種ですが年末商戦を超え、売上も上々のようです。
というわけで今回は「任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!」について詳しく説明致します。
任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!①【あえて特徴を棄てたニンテンドースイッチライト】
「任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!」1つ目のテーマとして取り上げるのは「あえて特徴を棄てたニンテンドースイッチライト」です。
日本が誇る世界的ゲームメーカーである「任天堂」。
ゲーム人口が増加する一方、スマートフォンの登場によりゲームメーカーも安泰とは言えない状況となっています。
任天堂でさえも失速が囁かれていたのを、見事覆したのが「ニンテンドースイッチ」でした。
前機種となるWii Uの販売が芳しくなく、任天堂にも陰りが見えたかと思われていましたが、起死回生となった新ゲーム機「ニンテンドースイッチ」は、ユーザーニーズに応えたゲーム機として世界的にも大ヒットとなったのです。
そんな「ニンテンドースイッチ」の発売から、4年目を迎えていますが、新たな任天堂の戦略が2019年7月11日に発売された「Nintendo Switich Lite」です。
昨年、夏の発売から年を超え売れ行きが懸念されていましたが、結局は「ニンテンドースイッチ」の売上シェアを順調に伸ばす製品となっています。
「Nintendo Switich Lite」は、「ニンテンドースイッチ」の廉価版とも言われる製品です。売上的には日本国内での売上よりも海外の売上での売上のほうが高いようです。
「Nintendo Switich Lite」(以下ライト)の特徴となるのが、携帯型ゲーム機であるということです。
従来の「スイッチ」も持ち運びが出来、携帯機として使用することもできますが、ライトは、さらに一歩進み携帯しやすいように変更を加えたものだという仕様になっています。
仕様としては「スイッチ」ベースとなり、同じソフトで遊べることが特徴でもあり、ゲーム機そのもののコンセプトを変えたわけではなく、消費者ニーズに応えた製品と言えます。
これは、近年のマーケティング事情から見ても需要が高いとされる変化で「モノ消費」から「コト消費」へシフトしていることによります。
つまり、より消費者ニーズに合った製品を提供していこうということです。
携帯型ゲーム機として特化している「ライト」と「スイッチ」の違いはいくつかあります。
中でも最大の特徴と言えば、テレビ接続が不可になったことでし。携帯型ゲーム機というコンセプトからサイズダウンは、明らかな違いとしてわかっていたことですが、「スイッチ」の売りであったモードの機能をなくしてしまうというのは、ある意味驚きでもあります。
従来の「スイッチ」は、スイッチ本体をドックにセットすることによりテレビとドックをケーブルで接続し、大画面でのプレイを可能としていました。
そして「スイッチ」単体の時には、「スイッチ」の端末画面でプレイすることもでき、場所を問わず楽しむことができました。
その他にも、「スイッチ」ではコントローラー(ジョイコン)の脱着が可能でしたが、「ライト」では本体とコントローラーは一体となっています。
「スイッチ」の特徴としては、これまでのゲーム機にはなかった「添え置き型ゲーム機」と「携帯型ゲーム機」という新たなモデル機として登場したことが革新的だったのです。
いわば「スイッチ」は、今後のゲーム機の未来を見据えた「ハイブリッドモデル」だからです。
そしてこの特徴がゲームユーザーに評価され「スイッチ」は、大ヒットとなったわけです。しかし、「ライト」は、この強みをあえて棄てたわけです。
「スイッチ」にて成功した機能をあえて棄てたという「ライト」の戦略、狙いとはいったいどこにあったのでしょうか?
「スイッチ」の廉価版とされる「ライト」の販売価格は19,980円(税別)。
従来の「スイッチ」と比べ価格的には、1万円も安くなっていることも特徴と言えます。
ここまで販売価格が下がれば、消費者としても手軽に入手できる価格帯となり、幅広い層にアプローチすることができることに繋がり、結果的にはユーザー増加の強化となるわけです。
廉価版とされる「ライト」は「スイッチ」の特徴をあえて棄てたという変更に対しては、ゲーマー間でも様々な意見が上がりました。
しかし、任天堂としてのこれまでの戦略を振り返れば、過去にも同じようなことをしているのです。
それは一世代前の携帯型ゲーム機「3DS」でも行っているのです。
「ニンテンドー3DS」の特徴と言えば裸眼立体視でした。この特徴をあえて削ったのが「ニンテンドー2DS」でした。
裸眼立体視という機能は、あれば確かに楽しいものですが、ゲームをプレイする上では、必須のものではありませんでした。
そこで、この機能を削ぎ落としゲーム機本来のシンプルな形にしたのが「2DS」でした。
機能を削ぎ落としたことにより「2DS」は、「3DS」に比べ販売価格を抑えることができたのです。
このように任天堂の戦略は、過去を振り返っても、あえて特徴を棄てるという戦略を行ってきたのです。
新たな機能の追加だけにこだわるのだけでなく、必要最低限のシンプルな機能のみを残すという戦略も任天堂の戦略と言えます。
任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!②【2台目需要を狙った戦略】
「任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!」2つ目のテーマとして取り上げるのは「2台目需要を狙った戦略」です。
ゲーム機を活かすのは、やはりソフトの面白さです。いくらゲーム機本体が高スペックだったとしても、ソフトが面白くなければ意味がありません。
そして「ライト」の販売を加速させるソフトが次々と投入されます。
まず、1つ目が2019年11月15日発売の『ポケットモンスター ソード・シールド』。
2つ目が2020年3月20日発売予定の『あつまれ どうぶつの森』です。
「ポケモン」と言えば、子供から大人まで幅広い層に人気のあるゲームタイトルでゲームの他、テレビアニメ、映画など様々なメディア展開がされています。
『あつまれ どうぶつの森』も世界的に人気のタイトルとなっている人気シリーズで8年ぶりの新作といことで、ゲーマーからの期待も非常に高まっているソフトです。
これら二本の人気タイトルの後押しを受け価格が安い「ライト」の存在というのは、これまで以上に存在価値を高めるものではないかと予想されています。
特に「ポケモン」については、ユーザーは出来るだけスムーズなプレイを楽しみたい為、2台目を購入するコアなユーザーも増加しているのです。
いつでもどこでも、どんな時でも楽しめるという「ライト」は様々な場所で遊べる専用端末として外出時に必ず持ち出したいというユーザーニーズを満たしているのです。
一部では「スイッチ」の2台持ちが常識となっていることもあり、「ライト」の投入は、2台目需要を狙った戦略とも言えるのです。
この2台目需要の獲得については、ゲーム機市場の現状を踏まえてのもの。スマートフォン全盛のこの時代、ゲームを含め何でもできるスマホの存在は、ゲーム専用機というスタンスの「スイッチ」には、驚異となります。
その為、可能性があるユーザーをゲットする為に、あらゆる角度から攻める任天堂は明確なマーケティングに基づいた戦略を行っているビジネスモデルと言えます。
ただ、単に価格を安くし機能を削ぎ落としたということだけでなく「ライト」には、多くの可能性が残されているのです。
任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!③【その他の市場もターゲットとするライトの戦略】
「任天堂の経営戦略。ニンテンドースイッチのその先へ!」3つ目のテーマとして取り上げるのは「その他の市場もターゲットとするライトの戦略」です。
これまで説明してきたように携帯型ゲーム機として特化している「ライト」の特徴と、さらなるユーザー拡大、任天堂の戦略について理解頂いたと思います。
しかしながら「ライト」は、単なる「スイッチ」の廉価版ということではないのです。
ゲーム機としての「ライト」の性能は、ゲーム機として十分楽しめるスペックを持っています。
これまでの「DS」に比べても一目瞭然のようにHD画質という画面の美しさでゲームを楽しめ、しかもそれが手の平サイズというコンパクトな形になっているのですから、そのクオリティは疑いようもありません。
レベル的には、「据え置き型ゲーム機」としてのクオリティを十分に保持しているのです。
さらに「ライト」は、子供達が使う端末としても需要が高いのです。単なるゲーム機だけでなく、子供がYouTubeを見る時の専用端末としての利用価値も高いとされています。