「赤いきつね」と「緑のたぬき」と言えば、皆さんもよく、ご存じのことかと思います。
赤と緑のパッケージというのは、誰もがイメージを持つようなインパクトがあります。
というわけで今回は「”赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略」について詳しく説明致します。
“赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略①【即席麺業界の現状】
「”赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略」というテーマで1つ目に取り上げるのは「即席麺業界の現状」です。
世の中には、実に様々な商品が存在しています。
消費者としては、無数の選択肢がある中から選ぶことになるわけです。
差別化が難しく、類似商品が数多く存在する今、モノはあるにも関わらずモノは売れない時代と言えます。
商品を選ぶのは、消費者にイニシアティブがありますが、様々な商品や情報が存在している今、消費者としても自分自身の潜在ニーズにさえ気がつけないということもあるのです。
差別化が難しいとなれば、あとは見た目の印象やインパクトというのが決定打となるわけです。
もちろん商品そのもののクオリティというのは、最終的に顧客が選ぶ上での大きな要素となりますが、消費者から選ばれるためには、デザイン的要素も他との違いを生み出す重要な要素となるのです。
そこで今回、商品認知度の高さ、パッケージデザインのインパクトの強さという意味で東洋水産の代表的な商品である「赤いきつね」と「緑のたぬき」があります。
同社の代表的なロングセラー商品としての認識が強いのです。
皆さんも、この2つの商品は、ご存知のことかと思われます。
東洋水産と言えば即席麺業界では有名メーカーですが、「赤いきつね」と「緑のたぬき」という商品があまりにもメジャーすぎて、東洋水産という社名のほうが印象が薄いのかもしれません。
即席麺市場というのは、非常に好調であり市場規模としては、非常に大きく生産額ベースとなると5,778億円程となります。
国内市場は、もちろんのこと海外市場に関しても市場規模は大きいのです。
皆さんも普段から即席麺をよく食べていらっしゃることかと思われます。
世界需要の割合を見れば、全体の4割以上を占めるのは中国なのです。
日本においての即席麺市場既に様々な商品が出尽くしている飽和状態であるとも言えなくはありませんが、それでも数々の新商品が発売されるのです。
糖質や塩分カットという近年国内市場において高まる健康志向な商品が発売されるなど市場の活性化を促しているのです。
そのような即席麺市場における東洋水産のポジションとは、どのようなものなのでしょうか。
経営状況としては、国内即席麺事業の売上は、32.6%(約1,260億円)となっています。
東洋水産が即席麺事業開始したのは1961年のこととなります。
「赤いきつね」や「緑のたぬき」、「麺づくり」など数多くのブランド商品やロングセラー商品を持っています。
スタンダードな同社のブランド商品を持つ一方で、様々な改良を加えることによって既存商品の時代に合わせた形での変化や「マルちゃん正麺」シリーズなど、新たな商品も次々と生み出していったのです。
業界の中においてもニュージャンルの提唱や新たなスタンダードとなる商品開発を積極的に実施してきたのです。
即席麺なのに生麺タイプをコンセプトとする「マルちゃん正麺」が登場したのは2011年のこととなります。
「マルちゃん正麺」は、発売からわずか1年で2億食の大ヒット商品となりました。
「赤いきつね」と「緑のたぬき」という同社のブランド商品があるにも関わらず、さらなるブランド商品の確立によって即席麺業界での同社の存在感は際だっています。
“赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略②【海外で評価された理由】
「”赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略」というテーマで2つ目に取り上げるのは「海外で評価された理由」です。
ラーメン好きの日本人にとっては、即席麺は日常には、なくてはならない身近な商品と言えますが、その一方で海外の即席麺事業に目を向けるとどうでしょうか。
売上全体としては、約19%(730億円程度)がアメリカ、メキシコを中心とした北米や中南米での販売に強みを持っています。
特にメキシコにおいては、日本と同じく国民食と言われるほどに即席麺が普及されています。
驚くべきことにメキシコ国内においては、シェア9割を東洋水産の製品が占めているのです。
東洋水産においては、即席麺事業というのは当社の主力事業となるわけです。
代表的な商品を数多く持ち、高いシェアを維持しているというのが同社の大きな強みであると言えます。
東洋水産と言えば、即席麺事業が主力であり、そのイメージが強いのですが、次のような事業も幅広く展開しているのです。
- 水産食品事業
- 低温食品事業
- 加工食品事業
- 冷蔵事業
食に関わる様々な事業を展開しており、どの事業が特に特化しているというわけではなく様々な事業をバランス良く手掛けているというのも同社の特徴なのです。
逆に言えば、東洋水産という企業は非常に弱みの少ない企業と言えます。
実際に、日本やメキシコなどは即席麺業界というのは活況と言えますが全世界を対象としてみると即席麺の需要というのは減少傾向にあるのです。
そのような即席麺業界において、東洋水産のライバル企業として存在するのが日清食品です。
即席麺業界をリードしてきたのも、この両者とも言えます。
日清食品と言えば、やはり「カップヌードル」です。
世界のカップヌードルと言えるほどの世界的な国民食として認知されており、商品の知名度としては非常に大きいのです。
カップヌードルというのは、それほど世界で認知されている商品であり、世界80カ国で年間300億食超という驚異的な数値での販売数となっています。
そのようなワールドスタンダードとなったカップヌードルが勝てない国がメキシコなのです。
なぜ、メキシコにおいての東洋水産=マルちゃんは、国民食になり得たのでしょうか。
メキシコでの東洋水産のイメージとしては「マルちゃん」なのです。
言い換えればカップ麺=マルちゃんというほどの認識の強さとなのです。
メキシコでのマルちゃの人気というのは、非常に凄まじいものがあります。
言葉として「マルちゃんする」というように動詞化されているほどにまでになります。
意味としては、一緒にマルちゃんでランチをするとか、手早くささっと食べ終わるかという意味で使われているのです。
マルちゃんがメキシコで大きく評価された理由とは、いったいなんなのでしょうか。
まず、一つ目として安さがあります。
メキシコという国は非常に出稼ぎ大国と言われるように出稼ぎする人が非常に多く、マルちゃんは、出稼ぎ土産として定着しているのです。
メキシコでのマルちゃんというのは、ある意味、特殊な状況と言えます。
海外においての製品評価のポイントとなるのは「機能性」です。
しかし、それに反して機能が例え優れていても現地では、受け入れられないという現状もあるのです。
その理由とは、いったい何なのでしょうか。
それは、地域の「価値判断基準」が異なるからです。
言い方をストレートにするなら、いくら打っても響かないものは響かないのです。
日本における市場というのは、ガラパゴス市場と呼ばれることも多々ありますが、まだ見ぬ世界の未開の地を相手にした時は、その現地では予想以上の市場の進歩を生み出す場合もあるのです。
“赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略③【ネーミングセンスにより売り上げは変わる】
「”赤いきつね”の東洋水産のマーケティング戦略」というテーマで3つ目に取り上げるのは「ネーミングセンスにより売り上げは変わる」です。
様々な事業を行う東洋水産の特徴としてあるのがネーミングです。
商品名やサービス、店舗名や企業名など、ビジネスにおけるネーミングというのは実は非常に大切なのです。
実際に売上や顧客からのダイレクトな反響というのは、ネーミングにより大きく左右されるのです。
マルちゃんのロングセラー商品となった「赤いきつね」といえば、「カップうどん」というようにすっかり定着しています。
実は、この「赤いきつね」には、前身商品がありましたが日清食品の「どん兵衛」が発売されたことにより、パッケージなどのリニューアルを行ったことにより「赤いきつね」が誕生したのです。