今どの会社でも問題化している「人手不足」。当然私は勤めている食品製造販売業の会社も、慢性的に人手が不足している状況です。
どのようにして求人活動を行うのか考えることも大事ですが、その効果を上げるためにはまずは「なぜ人手不足であるのか」ということをしっかりと現実問題としてとらえる必要があると思います。
ここでは求人活動を行うために、なぜ人手不足となったのか考えるというその重要性を紹介したいと思います。
目次
現在は人材不足が深刻化!今後もこの状況は変わらない
今どの業界においても人手不足の問題が深刻化しております。就職活動においては売り手市場と言われるほど求人案件に対して応募者とのバランスが均衡していない状況であり、今後もこの不均衡は解消されないものと思われます。要は思うような人材が来てくれないのです。
わが社においても当然人手不足の問題が深刻化しており、時には工場が稼働できないのではないかと危惧されるほどの状況も一時ありました。
その問題解決のためいかにすべきか、一度主だったものが集まり会議にて話し合ったことがあります。
その時にどのように求人活動を行っていくのか、人手不足という現状において今後も同様の工場稼働を続けていくべきなのか、など様々な話し合いが行われました。
その結果ハローワークに出している求人案件をより具体的にわかりやすくそして目に留まりやすい魅力的な内容にする、その他就職・転職専門業者に依頼するなどの結論が出ました。
そもそもなぜ人材不足になったのか?
しかし私自身は一つ疑問に思うことがあり、議題に出しました。それは「そもそもなぜ人手不足になったのか」ということです。
私は総務経理という対場でありますから、労務管理も行いますので、入社退社の人の出入りの状況も把握しております
そこでよく考えてほしいのが上述の売り手市場の件です。
求人票を出してもなかなか応募者が連絡してこないという状況でありますが、それならば新しく人員が増えないだけですので以前と同じ従業員数であるべきです。
しかし実際には従業員数が減少しているのです。増えないのではなく減っているのです。しかもここ最近で退職した職歴年数は1,2年と浅い方ばかりなのです。
このことは会社として問題であると提案しました。そこでなぜ人が減るのかという話し合いになりましたが、その原因は工場内のコミュニケーションにあることが判明しました。
工場内で一番問題視されたのがいかにして新人を指導教育しているのかということでした。当然その場には工場長や製造責任者の方も同席しておりましたが、当初は人手不足である原因は会社の求人の方法に問題があるという工場以外の外的要因にばかり目が向いておりました。
しかし私がこの増えないのではなく減っているのはなぜなのかという議題を挙げた時に表情が一変しました。
いろいろとヒアリングしていくうちに、実はここ最近辞めていった従業員の方々が一同に「誰も仕事を教えてくれず孤立してしまっている」という事実が判明しました。
おそらくはうすうす何が原因なのか感じてはいたのだと思います。
さらに話し合っていくと、そもそも新人教育のためのチェックリストやマニュアルなどの資料が準備されていない、また新人の従業員に対しての普段からのアフターフォローやバックアップが不足している、そして工場全体で一丸となるコミュニケーション能力が不足しているということも判明しました。
ここでよく考えてほしいのですが、こんな新人に対してのバックアップや支えがない会社で働きたいと思う方がいらっしゃるのでしょうか?そんなはずはありません。だから増えないのではなく減っているのだとこの時皆が痛感しました。
よく言われることですが
「優秀な人材ほど真っ先に会社を辞めていく」
ということです。優秀な人材が外部に流出するということは、その流れを作ってしまった原因がその会社にあったということです。
本当の意味で「この会社に来れて良かった」と思う人材が、退職してまで外部に新天地を求めることなどなかなか考えづらいことです。
マニュアルやチェックリストの作成で退職者を減らす!
翌日よりさっそく実行しました。まずは各責任者にマニュアルやチェックリストなどの資料を早急に整備すること。工場内での新人に対する指導責任者を決めること。そして工場内のコミュニケーションアップのために、一度みんなで集まって食事会などを行うこと。
まずマニュアル作成は一番困難をきわめました。各作業に関して作業手順や分量・時間など事細かく書き起こし、その手順通りにパソコンにて入力作成していくのですが、膨大な作業量及び慣れない作業ということもあり、責任者は困惑しておりました。
しかし社長としては今までおざなりにしてきた罰としてその責任を果たすよう厳命がくだりました。さすがにいくら責任が大きいとはいえその問題解決のためには協力が必要だと考え、私自身も仕事の合間に入力などを手伝い、協力しました。
約2か月間は要したかと思いますが、それなりにではありますがマニュアル及びチェックリストが完成しました。
他にも各指導教育担当者も改めてその業務内容を見つめなおし、いかにしたら新人の方でも効率よく作業できるようになるかの試行錯誤をしていました。
副次的にここの業務のスキルアップにも繋がる
結局この一連の作業により、その入ってきた新人の方に対する指導教育にも大きく貢献しましたが、それ以上の副産物があったのも事実です。
このほかにも社長提案で行った食事会も非常に良い結果を生み出すことができました。普段は同じ作業場においてもさほど会話すら交わさない方々が、無礼講でおいしい食事とお酒を共に楽しむことで心のわだかまりや壁が取り除かれ、それぞれに新しい発見があったようで、とても和やかで楽しいひと時が過ごせました。
その日を境に工場内で色んな会話が飛び交うようになり、工場全体が明るくなった気がします。そしてとても活気づいた雰囲気を痛感しました。
この結果から新人の方が数名入社してきましたが、退職するという人は今のところおりませんし、定着率が向上したように感じられます。
やはり元気よく活気があり、そして新人を全体で見守ろうとする職場はだれしもやりがいを感じ、やめようとは思わないのです。
いろんな求人方法を実践し採用できたとしても、数か月後にやめてしまっては意味がありません。そのためにはまず働きたいという環境づくり、そしてまずはなぜ人手不足なのかを根本的に考え、会社全体で話し合うことが大変重要だと思います。
以上私の会社が実践してきた内容を紹介してきました。