新型コロナの影響によって、様々な業界、分野で苦境にたたされる中、映画業界をはじめとしたエンターテイメント業界もまた非常に厳しい時を迎えています。
そんな中、「鬼滅の刃」の大ヒットによるシネコンの現状に迫ってみました。
というわけで今回は「シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング」について詳しく説明致します。
シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング①【コロナ禍を救う大ヒット】
「シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング」というテーマで1つ目に取り上げるのは「コロナ禍を救う大ヒット」です。
皆さんは最近、映画を見ていますか?
映画を見る手段というのは、様々な方法があります。DVDなどのパッケージ商品を購入したり、レンタルしたり、また現在では、オンラインによっていつでもどこでも映画を楽しむことができます。
動画配信サービスなどは、定額固定の見放題というプランもあり、映画好きにたまらないサービスと言えます。
そのように映画を見る方法は、いくつもありますが、だとしても映画館で映画を見るのは、やはり違います。
映画館ならではの迫力と臨場感は、なんとも言えないものがあります。
そして、現在の映画館は、シネコンが主流となっており、現在では単館の映画館というのは、非常に少なくなりました。
そんなシネコン主流の映画業界も、2020年は新型コロナウイルスの影響により、営業停止を余儀なくされました。
苦境に立たされ非常に厳しい状況となったシネコンに一筋の明るい希望となったのは、大ヒットとなった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』です。
前代未聞の大ヒットとったこの作品は、正に社会現象ともなる大流行となったのです。
その興行成績は公開10日で107.5億円、観客動員数798.3万人という異例のスピードで快進撃を続けています。
このペースでの最終的な見込みでは、およほ200億円突破は確実と言われています。
この作品が苦境にたたされるシネコンを救う救世主になったことは、間違いありません。
兎にも角にもどこでも溢れる「鬼滅」ブームは、作品そのものの魅力によって、客足をシネコンへ呼び戻してくれるきっかけとなったからです。
コロナから救う起爆財として、シネコンを含めエンタメ業界、映画業界において活気を取り戻すことになる明るさを取り戻させたのです。
そもそも、今回の「鬼滅」ブームは、コンテンツそのものの魅力はあることは前提としても、様々な要素が絡んだことにより、空前の大ヒットとなったのです。
シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング②【コロナ禍が作り出した特異な状況】
「シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング」というテーマで2つ目に取り上げるのは「コロナ禍が作り出した特異な状況」です。
「コロナ禍」という特異な状況が関連していることは明らかであり、平時では起こり得ない状況を生み出したとも言えるのです。
そもそも「鬼滅の刃」は、映画ありきではなく、元々、週刊誌の連載漫画としてスタートし、その後アニメ化を得て、今回の映画化となったわけです。
漫画を原作として、様々なプラットフォームへの変換としては、極一般的なプロセスを経てここまでの大ヒットとなったわけであり、今回の映画がさらにブームを牽引しブレイクさせたことは間違いないのです。
そのヒットの凄さというのは、とにかくスタートダッシュか凄まじい勢いであるということ。
新作のコンテンツについては初動というのは、最も動きがあるのは当然としても、鬼滅に関してはトーンダウンは、見られずブームにさらに勢いをつけて、まだまだこれからがピークを迎えることになるというわけです。
記録的ヒットが続けば、さらにブームは加熱し、様々なメディアで情報を報じ続けるのです。
既に鬼滅の刃についての、マーケティングは大成功しおり、ブランディングも完成していると言ってもよいでしょう。
プロダクト側としても、特に何もしなくても、勝手に売れていく状態であり、頼んでなくても様々なメディアが勝手に情報を追加してくれることによって、プロモーションは継続されるのです。
マーケティングの最終的な目標てあり、正に理想的な状況ともなったということになります。
大きなブームの形成を支えた背景は、ウェブの力が大きく働いたことは言うまでありません。
尋常ではないボリュームの情報がネット上に溢れ、SNSなどを介しても情報拡散をしたのです。
様々なメディアとウェブ上での情報がクロスミックスすることによる相乗効果を生み出したのです。
アニメというのは、ある種独特なサブカル文化とも言え、作品によってはコアなアニメファンだけが注目しがちとなりますが、一部のアニメファンという垣根を超え、一般の人を巻き込んだことが大成功の要因です。
普段では、アニメを見ない人、そして映画を見ない人までを動かしたことが、今回のヒットの理由となっているのです。
話題性という一面から潜在顧客以外のターゲット層の囲い込みに成功した結果なのです。
シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング③【シネコンの抱えるジレンマ】
「シネコンの現状とコロナ禍によるエンターテイメントマーケティング」というテーマで3つ目に取り上げるのは「シネコンの抱えるジレンマ」です。
コロナ禍という非常に厳しい状況の中、今回の鬼滅特需は、シネコンにとって大きな回復のきっかけとなったわけです。
振り返ってみれば、前例のない緊急事態宣言という状況によって休業を余儀なくされシネコンは、映画の上映が完全にできなくなりました。
それによって起こったのは、公開スケジュールの変更です。
観客が訪れない状況では、新作予定だった映画も公開延期をせざるをえない状況となりました。
そして、休業要請解除後となった5月下旬に映画館自体の営業は再開されるものの、コロナ感染への恐れから客足の戻りは非常に鈍かったのです。
ビジネス的な観点から見ても配給会社としては客足が鈍い状態では、なかなか新作公開に踏み切れないことから、シネコンのスクリーン編成は旧作ばかりが並んだという異例の形となったのです。
コロナ禍という状況において、客足を映画館に向かせることは、非常に難しく、そのきっかけを作ることは非常に難しかったのです。
集客を望み一方で、多くの人が集まる環境では、感染拡大を懸念した大きなリスクを抱えるというシネコンのジレンマもまたあったのです。
客足を戻すには、とにかく顧客に対し安全な環境を提供するということです。
そのためにおこなったことは、全座席での飲食不可、マスクの着用義務などでした。
また座席数を半分に減らすなども行われました。
シネコンにとってやはり、集客というのは、非常に大きく客足を戻すだけでなく、全席を対象とした観客数を見込むということ。
つまり、キャパをフル活用することが前提となります。シネコンという環境をフルに活用し、少しでも稼働率を上げる、それこそがシンプルに利益率を上げることなります。
しかし、この状況では、それもままならず、加えて飲食販売も制限されているのは、非常に厳しい状況と言えるのです。
「鬼滅の刃」のような世間を巻き込んでの一大ムーブメントという千載一遇のチャンスの中で、シネコンの資産を最大限に活用できないことは、なんとも言えないジレンマがあることは間違いありません。
コロナ以前の平常営業という形には、到底戻れず座席数や飲食販売なしで、今後どうやって収益性を高めていくか?というのが非常に重要なポイントとなります。
ムーブメントの継続というのは、いつまで続くのか非常に未知数ではありますが、ブーム1つでこれまでのダメージをカバーすることは到底できないわけで、この先も苦境が続いていくことは間違いありません。
最も重要なシネコンの今後は、いかにして新たな観客を取り込んでいくかということではないでしょうか。