ワールドカップにオリンピックなど近年はスポーツイベントもグローバル化となり、スポーツマーケティングブランドも成長が著しい今日この頃です。
スポーツは全世界を共通として、言葉や人種に関係なく誰もが胸を熱くし感動を呼び起こす魅力的コンテンツです。そんなスポーツコンテンツとして登場したのが「DAZN」です。
今回は、そんな「DAZN」の経営戦略について触れてみます。
コンテンツとしての魅力あふれるスポーツの魅力を伝える
来年には世界的イベントとして「東京オリンピック」が開催されます。四年に一度のビッグイベントはオリンピックだけではなく、サッカーワールドカップなど魅力的なコンテンツが様々あります。
そんなスポーツの魅力を伝えるのが「DAZN」です。「DAZN」と言えば「サッカー」という印象が強いでしょう。
先日も南米のナンバーワンチームを決定する大会「コパ・アメリカ」にサッカー日本代表チームが招待国として招かれ南米の強豪と対戦したことは記憶に新しいでしょう。
サッカー日本代表と言えば、過去20年に渡りワールドカップへの連続出場を果たすなど、サッカーチームとしてのブランド力は確固たる人気があります。
そんな人気コンテンツであるサッカー日本代表が参加した「コパ・アメリカ」ですが、今回は民放テレビ局での中継はありませんでした。
今回のサッカー日本代表の独占配信を目玉とし、通常なら1か月の期間限定のお試し期間を倍の2か月に延長し多くのユーザーを獲得するなど明確な営業戦略を打ち出しています。
今回の日本代表チームの試合放映権を独占取得したのが「DAZN」なのです。「DAZN」は、ネットでのスポーツ動画配信サービス事業を専門とする業者です。
独自のライブ配信を行うなど、スポーツ好きの方にとっては、たまらないサービスとなっています。
ネット社会全盛のこの時代、メディアの第一ポジションはかつてのテレビではなく、インターネットに移行しており、よりパーソナルなコンテンツ選びができる時代となっています。
そんな時代の中、専門的な動画配信サービスという強みを持つ「DAZN」は、将来的な可能性を信じた強気の経営戦略を展開しています。
時代にリンクした形で登場した「DAZN」の登場。
「DAZN」が日本国内にてサービスを開始したのは、2016年8月となりサービス開始からまだ僅かな期間しかたっていません。「DAZN」がサービス開始した頃は既にネットでの動画配信サービスはいくつも存在していました。
それぞれの動画配信サービスがコンテンツ的にも料金的にも様々な特徴を打ち出していますが、「DAZN」の動画配信サービスとは他社とは違うコンテンツ展開として注目を集めました。
「DAZN」の最大の特徴と言えば「ライブ配信」です。これまでスポーツのライブ配信と言えば、テレビや衛星放送などが主流でした。しかしこのスポーツのライブ配信をネットに持ち込んだということが戦略的に新しいのです。
例えば今回の「コパ・アメリカ」でもライブ配信されましたが、開催地がブラジルだったうこともあり、時差の関係でキックオフの時間は日本時間朝8:00からでした。この時間帯では多くの人が通勤途中なのですが、ネットでのライブ配信であれば、電車の中の移動中でも試合観戦することができるのです。
動画配信サービスの魅力といえば、ネット環境がありさえすれば、時間や場所を問わずいつでもどこでも楽しむことができるというメリットです。
また「DAZN」の登場時に世間をアッと驚かせたのは、Jリーグとの巨額の長期契約が話題を集めました。その契約内容とは、2017年からの10年間で総額2100億円。年間で210億という超大型の契約を結んだのです。
この契約によりJリーグの全ての試合を配信することはもちろん、Jリーグとも連携し様々な取り組みを行っています。
「Jリーグ」と「DAZN」のウィンウィンの関係性
「Jリーグ」と「DAZN」の大型契約は双方にとってウィンウィンの関係を築くものとなりました。Jリーグが始まったのは1993年のこと、26年の歴史を積み上げてきましたが、これまでのJリーグは決して順風満帆ということでもありませんでした。
「Jリーグ」はチーム数は増加しましたが、チーム運営に赤字を抱えるクラブも多く、集客的にも伸び悩んでいた時代が長く続きました。
そんな「Jリーグ」にコンテンツとしての価値観を与えスポーツコンテンツとしてのブランド力を与えたのが「DAZN」でした。
契約料の2100億円は各チームへの分配金として利用されることによりチームそのもののブランド力を高めことになります。そのことが強くて魅力あるリーグを作り出す原動力となるのです。
つまり「Jリーグ」という既存の商品に先行投資したことによりブランド力を自ら高めようとした経営戦略なのです。
この大型契約は早くも各チームに現れました。世界的有名な選手をJリーグのチームへ呼び込むことができるようになったのです。
リーグ全体が活気づけば自ずとブランド力は上がります。欧州を席巻するサッカーブランドを日本で作り出そうという魅力的な経営戦略と言えるでしょう。