人間が生きていく上で欠かすことのできないことが「食事」。食事は人生においての楽しみのひとつであり、健康的に過ごす為にはとても大切なこと。
そんな「食」を満たしてくれる外食産業の現在は、拡大傾向とも言われています。その実態はどうなんでしょうか?
今回は、そんな外食産業にスポットをあて現在を探ります。
外食産業は拡大傾向か?
今、日本の外食産業は、拡大傾向と言われていますが、その実態はどうなんでしょうか?
外食産業の現在を知るには、日本フードサービス協会の調査による集計した結果を見ることで把握することができます。
昨年度2018年の外食産業の集計結果は前年比2.3%増ということで微増となっています。
この集計結果の詳細な内訳としては、売上高が102.3%、店舗数100.4%、客数100.8%、客単価101.5%というデータが発表されています。
この内訳をみても着目すべきは、集計項目全てに結果として前年より上回っていることです。
中でも注目すべきポイントは、「売上高」。これについては、なんと4年連続で前年を上回っているのです。ここ数年は少しずつですが、着実に結果をだしていることがわかります。
ここ数年の飲食業界の市場傾向をみても全体的に上向いていえると言えるでしょう。
2018年の外食市場は25兆円を突破したということでも大きな注目を集めています。総括的にみても外食市場の需要傾向は高まっています。その流れは2019年も継続するものと思われます。
業態別に見る外食産業の現状
拡大傾向にある外食産業を今度は、業態別に詳しくみてみましょう。
様々な形態のある外食産業の中で特に好調なのが「ファーストフード」です。手軽に安価で食べれるファーストフードは、多忙な現代人にとっては、利用しやすい外食業態となります。
ファーストフードは、売上103.3%、店舗100.4%、客数101.7%、客単価101.5%と全てにおいて増加しています。
同様に「ファミリーレストラン」も全てのポイントについて上昇傾向となっています。
外食産業をリードしているファミレス、ファーストフードの一方、居酒屋、パブなどは前年を若干下回る傾向となっています。
売上98.5%、店舗数98.3%、客数98.8%、客単価99.6%という結果です。
実は居酒屋業態については、売上、客数共に10年連続で前年比に対し減少傾向となっています。これについては、若者のアルコール離れやコミュニケーションの方法の変化、外食産業そのものへのニーズの変化が原因と言えるでしょう。
集客の為に行う様々な営業戦略
外食市場のトレンドと言えば、昨年あたりから若い女性を中心として一大ブームになっている「タピオカ」があります。
「タピオカ」については、今回が初のブームではなく、今回は第三次、第四次のタピオカブームと言われています。盛り上がりを見せるタピオカドリンクですが、ドリンクそのもののクオリティも向上しており、これまでのタピオカドリンクとは異なります。
見た目にも鮮やかなドリンクが多く、消費者を惹き付けるだけの魅力があります。
景気に左右されやすいという外食産業は顧客獲得の為に様々な取り組みを行っています。
外食産業の経営戦略は、新メニューを考案し発売することだけではなく、店舗作りや運営形態を含めれば様々な営業戦略があります。
例えば店舗スタイルをこれまでにない新しいスタイルで営業する方法です。多くの集客が可能な広い面積を持つ店舗や、逆に「立ち食い」専門の狭いスペースでの店舗スタイルなど、店舗の営業業態を変えるだけで集客面が大きく変わってくるのです。
またカフェなどに目を向ければ、仕切りを設けブライバシーを確保できる1人用席を新設したりしています。この1人席にはパソコンやスマホなどで利用できるコンセントが付いている座席もあります。
店内はWi-Fi環境も整えられているなど、顧客にとって居心地の良い空間を提供しています。
店舗スタイルの改革は、マーケティングに基づき今、求められているニーズを知ることにより時代にマッチする可能性があります。
次に提供スタイルを変えることによる営業戦略があります。時間制限の食べ飲み放題スタイルを戦略的にはじまる外食産業も存在しています。
居酒屋などでの2時間飲み放題が定番でしたが、最近では30分飲み放題サービスなども存在し、これまでにないメニューで消費者のハートをキャッチしています。
これは短時間で回転率を良くし集客を見込む営業戦略です。未婚の単身者が増加傾向にある現在のマーケティングに基づいて行われた戦略です。
会社帰りの独身サラリーマンがターゲットとなっており、低価格で短時間で1人で食事を楽しめるサービスメニューとして受けています。
このように外食産業は、メインとなる「食」の提供というサービスの付加価値として「食」を楽しむことができる空間や時間を提供することによって顧客を満足させているというわけです。
各企業のアイデアと、なんとか顧客をお店に呼び寄せようという企業努力によって、現在の外食産業の好調さが保たれているのです。
そこでしか食べれないもの、そこでしか味わえない楽しみを求めて人は、お店に足を運びたくなるというわけです。