介護業界は空前の人材不足に見舞われています。2018年2月現在の介護職員の有効求人倍率は4.02倍ですが、実質はそれ以上に感じる施設も数多く、とにかく人が集まりません。その中でも私たちの施設は数少ない職員の充足率100%を達成しているところです。
今回、私たちの介護施設で取り組んでいる人材確保の方法について紹介します。
目次
まずは職場の雰囲気を良くすること
介護職員の退職理由の第1位は給与でも福利厚生でもなく人間関係です。
介護の仕事は対人業務であるので、職員間のコミュニケーションの良し悪しが職場の雰囲気に影響します。そのため、まず人材確保を行うまえに職場内のコミュニケーションを円滑にし、職員みんなが笑顔で業務ができるような環境を管理者や人事担当者は整備しなければなりません。私たち管理者自身が求職者に自信を持ってオススメできる職場であることが大前提です。
職場コミュニケーションを円滑にするには管理者が積極的になること
職場内のコミュニケーションを円滑にする方法ですが、まず私たち管理者や人事担当者が積極的に介護の現場に行って職員や利用者とコミュニケーションをとることが重要です。
できれば毎日行ってください。そうすると、職員と利用者との信頼関係が厚くなっていきますので、色々と相談されることも増えていきます。逆に私たちが職員の変化に気づいて「どうしたの」と声をかけ悩みを聞き出すこともできます。
相談に対し真摯に耳を傾け職員の不安要素を取り除くことで、職員に余裕が生まれ笑顔になります。その笑顔は利用者へ還元されます。そうすれば職場の雰囲気がよくなります。
文章で書くとごく当たり前のように感じられるかもしれませんが、これが最も難しくそれでいてすごく重要なことなので是非とも実践してください。
環境が整備されたら毎日ブログなどを更新
職場の雰囲気が明るくなって、職員、利用者ともに笑顔の多い施設になったら今度は積極的に施設内の様子をインターネットへ配信しましょう。私たちの施設は元々遠方に住む利用者家族や忙しくて利用者の様子を見に来ることができない方へ向け利用者の日々の様子をブログで発信していました。利用者の家族等に安心していただこうと取り組んでいましたが、実はこれが利用者の家族のみならず求職者に対しても良い印象を与えていました。
ブログ更新の求職者への効果
求職者は介護未経験者も数多くいます。そのような方の場合、施設での介護とはどのようなものなのか、どういった人がいるのか、施設ってどんな雰囲気なのかといった普段の様子が全くのブラックボックスであるため、なかなか第一歩が踏み出せずにいます。
知らないところよりも知っているところの方が就職希望者も安心します。また、介護の経験者であっても、この職場であれば人間関係に苦労することなく勤められそうと感じてくれたり、前の職場とはこの部分が違うと行った比較であったり、就職を希望する上での判断材料としてブログを活用することもできます。
毎日のブログ更新は施設のリアルタイムの情報が得られます。すなわち、就職しても全てがゼロからのスタートではないこともあります。就職した最初のオリエンテーションでも採用した職員が想定以上に施設のことをよく知っていて、むしろ私たちが驚いたこともあります。
毎日のブログ更新の波及効果
毎日ブログを更新すると閲覧者数が増加します。はじめは施設関係者がほとんどですが、検索のランキングの上位になってくると施設関係者以外の方々も数多く閲覧して興味をもってくれます。そのことが人材確保へつながることがあります。
これまで全く施設とは関係のなかった方からブログを通じて就職へつながったケースもありますし、親が興味を抱いてくれ子供を就職させてほしい旨の連絡があったり、福祉専門学校の先生から生徒を就職させてほしいとの連絡があったり、毎日更新し続けることで私たちが思ってもみなかった就職ルートが開拓されました。
施設内をじっくり見学させること
情報発信で重要なのは来ていただいた方への見学対応もあります。
実際に就職を希望される方に対しては必ず見学をしてもらいます。ブログでは感じ取れない雰囲気を今度は就職希望者自身が肌で感じ、この施設に勤めたいかどうかを考えてもらいます。同時に私たち管理者もこの方であれば私たちと一緒に働ける、この方は少し物足りないといった人間性を面接前でも感じることができます。
資格や学歴、職歴などといった履歴が立派であることも大切なことですが、それ以上に介護は「心」が重要ですので、結果的に採用に?がらず無駄な時間になったとしても、優秀な人材の確保には非常に重要なことなので、全ての希望者に対し時間をかけ、面接の僅かな時間ではなく見学の機会も通じてしっかり人材を吟味してください。
就職説明会への情報発信の方法
就職説明会では施設の様子を写真で撮影したものをアルバムにして数冊用意します。
数年前までは有効なツールとして機能しましたが、最近はこの方法を多くの介護施設で採用しているためここで差をつけるのは難しくなっています。そこで、私たちの施設では就職説明会において私の他にも毎回必ず若い介護職員を同席させています。
就職希望者は若い方が多いです。そのため、私たちのような歳を重ねた職員よりも若い職員の方が若い者同士で色々と話をしやすくなります。私たちもその職員に「本当に自由に何でも言っていいから」と事前に伝えていますので、その職員も本当に自由に話しをしてくれます。そのため、求職者もかなり突っ込んだ事まで聞いて興味を抱いてくれます。この方法で職員の確保に至ったケースは多いです。