世間一般に大きな買い物と認識されている「家」。快適な暮らしをする拠点である「住まい」によって生活は変わります。
そんな「住まい」は、持ち家か賃貸か一体どちらがお得なのでしょうか。
前編に引き続き、マーケティング的な要素から徹底検証していきます。
マーケティング考察論。持ち家、賃貸どっちがお得?④【持ち家と賃貸にかかるコスト】
持ち家の場合にも、賃貸の場合にもどちらにしても、それなりにコストはかかるわけです。
土地や建物などを購入する場合の諸費用としては、次のようなものがかかります。
【持ち家でかかる諸費用】
- 物件価格
- 購入時の各種諸費用
- ローン金利のスプレッド部分
- 毎月の管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税・都市計画税などの税金(毎年)
- リフォーム費用
- 火災保険なとの保険
一方、賃貸の場合にも、毎月の家賃の他それなりにお金はかかります。次のようなものがあります。
【賃貸でかかる諸費用】
- 契約時、更新時の更新料・更新事務手数料
- 引っ越し費用
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 保険料
このように、引っ越しをして新たな住まいに住む場合も、引き続き同じ住まいで、暮らし続ける場合にもどちらにしても定期的な費用は、かかるわけです。
賃貸契約のほとんどが、2年契約となっている為、更新料含め、各種手数料は、必ず2年毎にかかるというわけです。
それに対し、持ち家では毎年、固定資産税などの税金を払い続けなければならないのです。
これらの諸費用を50年間というスパンでコスト計算してみたところ、持ち家も賃貸もほぼ同額となり、結局のところ持ち家であるか賃貸であるかの総コストを比較すれば大差はないということがわかるのです。
もちろん不動産の価値、そのものは変化する為、物件価格や家賃相場は、市場価値によって大きく変わっていくのです。
では、全く同じスペックの物件(住まい)であれば、はたして借りるのか?買うのか?と考えたらどうなのでしょうか?
コスト的には、どちらもそれほど変わらないということであれば、損得的に考えれば、「どちらがお得であるか?」ということはないのです。
マーケティング的な論理的な見解としても、損得勘定での判断はなく、どちらを選択するかは、個人の考えや価値観によるものなど他の要素となるほうが強いのです。
マーケティング考察論。持ち家、賃貸どっちがお得?⑤ 【買うか借りるか、その判断基準は?】
これまでのマーケティング的見解を認識したところで結局のところ、買うか借りるかのどちらを選んだら良いのでしょうか。
不動産を購入するには、お金がかかりますので、誰もが簡単に購入できるわけではありません。
買うとなれば、まずはしっかりとした収入が必要となります。
皆が皆、キャッシュで変えるほど世の中、そんなに都合よくはありませんね。
ほとんどの方が、一生をかけるほどの長期のローンを組んでマイホームを手に入れるわけです。
ローンとは金融機関との契約なので、契約する為には、この人にお金を貸していいかどうかの審査があるわけです。
銀行といえども、誰かれ構わずホイホイと貸してくれるわけではありませんので、人を選びます。
普通のサラリーマンの方で、安定的収入があり、勤続年数もあれば、ほとんどの金融機関の審査は通ります。
しかし、収入はあったとしてもローンの審査はなかなか通らない人もいるのです。
例えば、自営業やフリーランスの方は、一般的に審査は通りにくいです。
例え、サラリーマンの方より収入が高くても、サラリーマンと違い会社というバックボーンがなく、個人で仕事をする人の信用度は金融機関からみても社会的にみても社会的信用度は低いのです。
これは、マーケティング的に見れば少し時代遅れのようにも感じます。
現在の雇用形態には実に様々な形があり、フリーランスで働く人が増加しています。
正規雇用が6割、非正規雇用が4割というこの状況では、金融機関は顧客を選んでいる場合ではないのではないかとも思われます。
特に最近では、金融機関により金利が異なり、各金融機関には差があります。
特に金利が安いのは、ネットバンクです。実店舗を持たないネットバンクは、様々な無駄を省くことにより手数料や金利の低さを売りにしています。
その為、大手都市銀や地方の信用金庫に比べ、確実に低金利なのです。
長期のローンを組む場合に、金利による総支払学部としてはかなり違ってくるので、できれば金利は低いほうが良いのです。
そのことから、できるだけ低金利のネットバンクを利用する方が増加しています。金利については、実店舗を持つ金融機関も、ネットバンクには叶わないと認めています。
また、金利だけでなく手数料などもネットバンクのほうが圧倒的に安いのです。
しかし、低金利のネットバンクもサラリーマンならまだしも、個人事業主やフリーランスの方に対する審査は厳しくなかなか通らないことがあります。
マーケティング考察論。持ち家、賃貸どっちがお得?⑥ 【それぞれのリスク】
不動産を買う場合には、支払いも含め、多少の情報取得や勉強が必要になってきます。
賃貸であれば、売買ほとお金はかからない為、金利云々など意識する必要さえありません。
また「買う」となれば、キャッシュで購入する以外は、負債を負うことになりますから、注意も必要です。
万が一収入が途切れた時のリスクや住宅購入資金としての頭金を使うことにより預金を取り崩すことにより、自己資本が減少するというリスクがあります。
つまり、自己資産については、住宅そのものが大半を占めてしまうという現実があります。
このようなことから、負債が資産を上回る可能性もあり、債務超過という状態にもなりかねないというわけです。
またその他の、持ち家のリスクとなるのが、自然災害です。ここのところ、日本ではどこに住んでいても安全ということはありません。
地震や台風などの自然災害により家屋が倒壊したり破損など、損壊を被る場合があります。
その際には、家屋の再現費用などは全て所有者である自分自身が負担することとなるのです。
例え、火災保険に加入していたとしても被害の大きさによっては、保険では全てを賄いきれない場合もあります。
また災害の状況によっては、家屋だけではなく、所有する土地自体も住めなくなる状態もあり得るのです。
東日本大震災のように津波による被害を受け、街全体が復旧困難となる場合もあるのです。
これが賃貸であれば、建物についての修復費用は、全てオーナーが負担します。借主には一切の責任はないので、新しい物件に引っ越せば済むということが言えます。
つまり、「賃貸」の最大のメリットは、手軽に「引っ越し」ができるという点です。
このように、不動産を購入することには、様々なリスクがつきまとうというわけです。
一般的には、持ち家の場合、住宅ローンの返済期間は、賃貸より負担が重くなります。
しかし、ローン完済後は負担は軽くなるというわけです。
このことから、老後に備えれば、自己所有となり負担の少ない持ち家に対し、一生住処に対して払い続けなければならない賃貸との違いが出ます。