チキンラーメンに、カップヌードルなどお馴染みの商品を提供し続ける「日清」。
即席麺のメーカーとして、そのマーケティングは世界規模の有名企業が、新たな食のイノベーションに挑戦します。
今回は、そんな日清の経営戦略について迫っていきます。
リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦① 【危機感】
誰でも一度は食べたことがあるチキンラーメンやカップヌードル。
手軽で簡単、すぐに食べれて美味しい商品で、これまで日本の食文化を支えてきたのが日清です。
即席麺メーカーである日清は、定番でメジャーな商品がいくつも存在していますが、マーケティング戦略については、手を緩めることはありません。
ここ最近ねら、「ひよこちゃん悪魔化」など、これまでにないような斬新なアプローチをしたキャンペーンや、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の効果により、2018年に発売60周年となったチキンラーメンやカップヌードルなどの主力商品が過去最高売り上げを達成したのです。
歴史ある食の大企業が、様々な営業戦略とマーケティング展開、いくつかの要素が営業し、売上的な記録を作った日清の未来は明るいことが想像できます。
そんな勢いにのる日清内部では、実は危機感のほうが強まっているということなんです。
というのも、売上最高益を叩き出したとしても、それを支えているのは、これまで同社を支えてきた主力商品の力だということ。
発売から60年を迎えたチキンラーメンに、今も食べさせられてもらっているという意識が強いそうです。
確かに日清にとってのチキンラーメンは、これまで何度かの改良は行われているものの近年生み出された新しい商品ではなく、既に世間にも認知された定番の商品だからです。
開発されたのは、今から60年前の創業商品だからです。
企業や商品にも必ずライフサイクルというものがあります。未来永劫売れ続けるという保証はどこにもありません。
ピークを迎えた商品やサービスは、今後は下降するケースだって十分にあり得ます。それがライフサイクルだからです。
昨年、過去最高益となった日清のピークは、もしかしたらそこだったのかもしれないのです。
そのようなことから、日清では逆に危機感というのを強く認識するようになったのです。
過去の主力商品に頼るだけでなく、それに頼らないような斬新なアイデアを持った商品やサービス展開をはじめる必要があると、日清は危機感を感じているというわけです。
実は今残っている大企業と言われるほとんどが、現状にとどまることなく、新たな事業戦略を行い生き残っているわけです。
現状に満足しては、ここで立ち止まってしまいます。常に前進のみと考えるスタイルが企業を更に発展させるわけです。
リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦②【戦略】
そんな危機感を感じている日清は、新たな戦略を提示しています。
それが「食のイノベーション」です。
日清食品が提示した新たな取り組みとは、2020年度に「ラーメン店」に乗り出すというのです。
これまで、即席麺メーカーとして君臨してきた日清が、ラーメン店をはじめるというのは、原点にたち戻るようなイメージもありますが、これまでにない全く新しいスタイルなので、斬新で驚きでもあります。
世界的、即席麺メーカーが提供する「ラーメン」とは、いったいどのようなものなんでしょうか?
麺は生麺なのか?それとも即席麺なのか?「ラーメン」そのものが、いったいどんなものになるのか、日清が出すラーメンだけに、今から興味津々です。
そんな日清の新たな戦略は、2019年10月に設立する社内組織「Nissin Innovation Lab.」による新事業の一環ということです。
つまり、会社がこれから革命を起こす為のプロジェクトを発動させたわけです。
リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦③ 【革新】
日清の企業理念は、過去に囚われることなくさらなる食文化に対する革命を起こすという意味で、様々なことにチャレンジしています。
2014年から掲げている社内スローガンは「Beyond Instant Foods」
これは、「即席食品の価値を超えた新たな『食文化』への挑戦)」という意味だそうです。
その現れとして具現化する為の組織が「Nissin Innovation Lab.」ということなのです。
明確なコンセプトの基、それを実現化させる為のチームを組み、企画、開発、販売していく企業一眼となってのプロジェクトです。
日清は、今後の革新の為、これまで培ってきた技術力、ブランド力、マーケティングなどのリソースを上手く活用し、新規ビジネスを開発していくということです。
新規プロジェクトチームとなる「Nissin Innovation Lab.」での人材確保は、社内公募または中途採用に経験豊富な人材を既に確保しているようです。
プロジェクトのメンバーは、20人程でスタートする予定だそうです。
ここで、意外だったのは、プロジェクトのメンバーとして中途採用を行ったことです。
日清と言えば、言わずとしれた大企業であり社員数は十分にいるのに、新たに加わるメンバーは社外からの人材も取り入れるということは、これまで企業内にはない斬新な考え方を持った人材を求めていることの現れではないでしょうか。
外からの意見を積極的に受けいれようとする姿勢そのものの現れなのではないでしょうか。