ここ数年、日本は様々な社会構造の変化として人口問題が表面化してきています。人々の価値観やライフスタイルが変わる現在、日本の世帯の在り方も大きく変わってきています。そんな変化はマーケティングにも多大な影響を及ぼします。
ということで今回は、「単身世帯の増加はマーケティングへどう影響するか?」というテーマで様々な観点から考察していきます。
表面化する人口問題
現在、そして将来への日本の不安材料、そして問題点と言えば「人口問題」。
この人口問題、数年前には誰が予想したことなのでしょう。人口問題が表面化するには、数年かかります。
そしてこの先、数十年後ある程度予測はつくとしても、実際にどのような未来となるか、その時にならなければ確実なことは誰にもわかりません。
私達日本社会には、どのような変化が訪れるのでしょう。時代の変化は、人の意識や価値観、考え方によって変化するものです。
人はどんな時に何を選択するのか、それはビジネスにおいても同様です。経営戦略をたてるにも現状を知る上でマーケティングは重要です。
昭和から平成、令和へと時代が変わる中、人々の暮らしやライフスタイルにも様々な変化が起こりました。
注目すべき大きな変化として、家族の形、人と人との関わり合いが上げられます。
主に以下の3点が問題となっています。
- 単身世帯化
- 未婚化
- 後期高齢者化
すでにこれらの問題は、将来的な予測や不安ではなく、今現在も現実問題として表面化しています。
この3つの問題は、それぞれ独立しているものではなく、密接に関連しています。
単身世帯化
日本社会が抱える3つの人口問題の中で「単身世帯化」について見ていきましょう。単身世帯とは、1人暮らしの世帯ですが、現在、この単身世帯が増加しています。
統計的には、1985年から2010年までの25年間で単身世帯が急激に増加しています。
夫婦と子供という、核家族の形さえも現在では崩壊していると言っても過言ではありません。
この状況が少子化にダイレクトに繋がっているのは、言うまでもありません。
これまで夫婦と子供のいる世帯(核家族)を「標準世帯」と呼んでいましたが、現在ではこの家族の形を「標準」と言えない状態と言えます。
と言うのも2010年に単身世帯が最も比率が高い世帯となっているからです。現在の現実的な「標準」とは、「単身世帯」なのかもしれません。
更にこの勢いは留まることを知らず増加傾向は継続するようです。
これはあくまで予測ですが、15年後の2035年には、単身世帯の占める割合がなんと全体の4割弱になると予想されています。
そして単身世代と入れ替わるように夫婦と子供の世帯が、たったの2割強となるのではいかと予測されています。
単身世帯の割合が増加するということは、当然総人口の割合にも影響します。
2010年で13.1%で、およそ8人に1人が単身世帯。
2030年には16.1%で、およそ6人に1人が単身世帯になると想定されています。
この単身化の理由としては、未婚化、晩婚化などが進んでいるからです。
単身世帯の内訳を見てみると以前は若年男性が多数を占めていました。現在では男女共に高齢層が占める割合が高くなっています。
経済面やマーケティング面から見ても、今後は単身世帯の存在感が強まります。
現在の単身世帯の消費率は、全体のおよそ2割となっていますが、2040年にはこれが3割近くとなります。
こうなると需要の高い単身世帯向けに市場はシフトせざるをえないのです。
トレンドが更に単身化を加速させる
ニーズがあるところにトレンドやマーケティングは自然となびかれていくわけです。しかし、この単身世帯向けのマーケティングがより色濃くなるのは、決して喜べることではありません。
さらに単身世帯化を強める要因となるわけですから、少子化は更に強まるのではないでしょうか。
もはや、1人で暮らすのが日本人のスタンダードとなってしまったその先には、いったい何が残るというのでしょうか?
日本人が危機的に減少してしまうのではないか?という恐怖さえも感じます。単身世帯の増加は、日本市場の縮小化に繋がります。
今後の日本社会を考慮すれば、目先はまずは高齢者、そしてその後は単身者となります。
その単身者の中には、高齢者も含まれるわけですから、問題は現在より更に重くのしかかります。
若い世代にとっても単身世帯がスタンダードとなれば、その時、若かった人が年齢を重ねた場合、いったい誰が年老いた単身者の面倒を見ればよいのでしょうか?
子供の少ない未来では、到底未来の単身高齢層を支えることはできません。
それだけでなく、様々な社会保障も成り立たなくなるのではないでしょうか。
日本の人口問題は、10年では改善することはできません。最低でも20年、いやそれ以上にかかることも十分にありえます。
日本では成人をこれまでの20歳から18歳に引き下げました。このことは、日本社会はそこまで追い込まれているということを露呈しているようなものです。