様変わりする通勤、通学の朝の電車での光景。ふと見れば以前に比べて本や新聞、雑誌を広げる姿が少なくなっていることに気がつきます。
そんな紙媒体に変わるものとして「電子書籍」があります。今回は、そんな電子書籍のニーズ、市場動向などをまとめてみたいと思います。
電子書籍市場の拡大
ブロードバンド、Wi-Fi、無線LANなどのネットワークの整備と進化。スマートフォンやタブレットPCなどのデバイス機器の普及により、様々なコンテンツそのものもデジタルメディア化しています。
音楽、映像、書籍などのデジタルコンテンツ化は顕著です。音楽ならCDから配信サービスや映像ならDVDからこちらもユーチューブなどの動画配信サイトへ、そして漫画や雑誌、その他の専門書籍、また新聞なども含めて「電子書籍」へと姿を変えました。
これらのデジタルコンテンツの特徴と言えば、もち運びの便利さです。重さがないデジタルコンテンツは、スマートフォンなどのデジタル機器さえ、あればいつでもどこでも閲覧することができます。
普通の書籍であれば、外出時に持ち出すのは、スペース的な意味でも重量的な意味でも持ち運びには限界があり、物理的制限を受けます。
電子書籍なら、そのような物理的制限は、ほとんどありません。読書好きの方や、1日に何冊も読む方にとっては、素晴らしい存在なのではないでしょうか。
電子書籍の登場当初から機能面も少しずつ改良されデジタルコンテンツの利用価値は、ますます高まっているのです。
市場規模は2826億円
電子書籍が話題となりはじめたのは、2005年から2006年の頃です。この頃既に電子書籍としての基本フォーマットは既に完成していました。今から10年以上前ということで、スマートフォンの普及率も今ほどではありませんでしたが、電子書籍市場は十分活況と言えました。
2005年度の市場規模としては、およそ94億円となります。その後、2018年度の市場規模を見ると、およそ2826億円ということで、その市場規模の拡大は、凄まじい勢いがあります。
10年間で約30倍という拡大規模は予想以上の発展と言ってもよいでしょう。電子書籍市場は年々拡大しており現在でもその市場規模には、伸びしろがあります。
2018年度にしても、前年比126.1%の大幅増という結果で、マーケティング的にも影響力は、相当なものと言えます。
電子書籍などのデジタルコンテンツが拡大する一方で、実際の書籍の売上が減少。「本」が売れない時代とも言われています。その影響もあって街の書店は、減少傾向が顕著になっています。
街の書店の減少率と電子書籍市場の増加率は反比例しているのです。電子書籍と同じようにCDやDVDなどのパッケージ商品も売れない時代となっています。
特にCDが売れなくなったことによる影響は、音楽そのもののクオリティを下げる1つの要因になるのではないかとも囁かれています。
CDが売れなければ、良質な音楽を作るだけの十分な制作費が得られず、作り手側が安心して音楽を作り出す環境が整えられないという問題も生じているようです。
本やCDも含めて、これまでの収益面を担ってきた媒体と作り手側の事情については、今後はこれまでとは違う対応を考えていく必要がありそうです。
電子書籍市場が拡大する理由とは
電子書籍市場の市場規模の拡大は、まだまだ衰えることを知りません。
電子書籍市場の拡大傾向を見てみると、一気に市場がブレイクしたというよりも、緩やかな右肩上がりで年々増加していることがわかります。マーケティング的にみても、投資対象としても電子書籍市場は、非常に魅力あふれる優良な素材と言えます。
ここまで電子書籍が普及した理由は、スマートフォンの普及率が影響していることは、言うまでもありません。電子書籍市場そのものとしては、電子書籍サービスの新規参入、新規利用者の増加、平均利用金額の増加など、いくつもの理由があります。
新規利用者の増加については、電子書籍の知名度があがったこと、実際の書籍に比べても機能性で劣らないことなど、ユーザーが理解しはじめたことが理由となります。
つまり、人を惹きつけるだけの十分な商品価値と日常においてのツールとしても役立つものと評価されたことが何よりも大きいのではないでしょうか。
電子書籍市場の中でも特に勢いがあり、業界をリードしているのが、「電子コミック市場」です。娯楽としての「漫画」人口が多い日本でのシェアが大きいのは普通のことと言えるでしょう。
電子コミックは、定額読み放題プランなどの料金システムから多くの人が利用されています。好きな漫画を好きなだけ楽しめるサービスは、漫画好きの方にとっては、たまらないサービスと言えるでしょう。
定額プランは電子書籍だけでなく、動画配信サイトでも行われており、その便利さ手軽さから多くのユーザーを獲得しています。
電子書籍ビジネスは、まだまだ発展途上の段階と言えます。何しろコンテンツの素材としての、「本」そのものの数が世の中には、星の数ほど存在し、全てが電子書籍化されているわけではないからです。
図書館や書店1つの量がメモリやディスクに収まってしまう電子書籍の魅力は、まだまだ十分あります。