2019年10月より、消費税が10%となります。私達の暮らしに影響を及ぼすことは必至です。
この増税により消費者はどのように受け止め、どのように対応するのでしょうか。
今回は購買意欲に与える影響など様々な観点から考察していきます。
消費税10%が与える影響
消費税の増税がおよそ5年ぶりに行われます。これまで何度かの増税があり、いよいよ10%へと変更されます。購入品の実に1割が税金ということになり、私達の生活への影響は必至となります。
消費税は、日々の暮らしに直結するわけですから、その影響は、わかりやすく施行されると同時に身近なところで感じるのではないでしょうか。
何気ないコンビニやスーパーでの買い物も、気がつけば財布の中のお金の減りが早いと感じるかもしれません。そうなれば、国民の生活にとっては苦しさを感じることになります。
消費税増税に伴い必ず起こるのが、買い溜め特需です。特に増税前直前には耐久性のものに関しての購買力は増加しますが、その後は一転、買い控えが起こるのです。
そのうち、時間の経過と共に元の水準へと戻り日常化していきますが、安定するまでには多少の時間はかかります。
そして今回の増税により10%となり、購入商品の1割が税金としてかかるというのは、非常に大きいのではないでしょうか。
これまでと違い1割というわかりやすさから、購買行動にはより敏感になってくることが予想されます。
消費税は、私達の生活に直結する身近なものだけに、購買意欲に直結することは間違いありません。
前回の消費税引き上げの際から考えてみること
前回の消費税の引き上げは、2014年4月から施行されました。この時は、5%から8%に引き上げられ、今回の引き上げ率より1%高く、引き上げには様々な影響がありました。
前回の引き上げ時、考えてみたら8%への増税の前は、5%。今回の半分ということです。10年も経過せずに消費税が倍額になるのですから、あまりに短期間での施行と言わざるを得ません。
前回の8%増税時には、様々な対策が行われました。消費者への具体的な対策として一時的な給付金措置がとろれるなど、購買意欲の低下を妨げようとの取り組みが行われました。
振りかえってみると、この給付金措置もそれほどインパクトはなく、中途半端な対策であったようにも感じられます。この措置があったことさえ忘れていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
消費者に対しての直接的な救済措置を実施する一方で小売業者に対しての対応は厳しいものがありました。
「増税分値引きセール」等の禁止を行うなど、消費税対応後の購買意欲低下の対策としては、実に乏しい内容となりました。
この消費税増税は、国民の生活にダイレクトに影響することもあり、購買行為にも国民は様子見の期間が続き、慎重になっていた時期もありました。
その結果、日本のGDPについても影響は現れたのです。消費税8%に変更後の2014年4月〜9月にかけてのおよそ半年間はマイナス成長となったのです。
この景気動向は結局、2015年3月まで続いたとの結果が出ています。
身近な消費税の増税は、私達の生活に直結し購買意欲や市場への影響などはスピーディーに現れ、結果的には国全体の購買意欲低下に伴うGDPのマイナスへとして現れることになるのです。
日本経済が結果的に落ち着くのは、増税後1年もかかったという事実もあり、今回の10%への消費税引き上げも同じようになることが予想されます。
改革というものは、大きな影響を与え、当然リスクもあります。増税という大きな改革は施行タイミングによっては、それこそ国の経済状態を揺るがす存在となりえます。
今回の10%の増税は、日本経済や市場、マーケティング的にも様々な分野で影響を与えることは必至です。前回の増税時と全く同じになることは保証できません。
どのように市場が反応し、どのような変化を見せていくか、消費者としても慎重に見守り、それなりに対応していく必要があるでしょう。
消費税増税による変化
消費税が上がったからといって、生活する為には購買行動が収まるわけではありません。日常に必要な日用品や食品などは、生活には必要で買わざるを得ないからです。
これらの生活必需品に関して必ず起こるのが、低価格シフトです。
消費税増税によりこれまでと違い余分なお金がかかるのなら、高いものよりできるだけ安いものを選ぼうという低価格シフトが起こります。
例えば少しでも安い代用品で済ませるなど、日々の買い物の中でも、少しでも節約し工夫するようになります。
低価格シフトは、節約という意味もありますが、単純に節約というわけではなく、買い方の調整という行為です。
このように消費者としても買い方にも変化は訪れるのです。
そして食品関係の企業なども、消費税増税に伴い企業努力をしています。例えば、ビールの代替品として登場されたのが、発泡酒や第三のビールです。
ビールに変わる代替品としての商品の登場は、ビール価格の低価格競争を起こしました。
更に発泡酒や第三のビールは登場直後は、ビールに比べて味で劣っていたのですが、企業努力によった商品改良が行われ現在では、味や品質もかなり向上しています。
このように消費税増税は、企業にとっても新たな戦略や商品開発などを行うきっかけともなり、ビジネスチャンスでもあるのです。