採用についてご苦労されている会社が多いと思いますが、せっかく採用した人材を会社を辞めずに定着させる方法について紹介します。
目次
定着率向上とは?
少子化が進み若い労働人口が減少しているため、新規・中途採用ともに欲しい人材の確保が難しくなっています。
あの手この手でせっかく採用した人材も、会社を辞めることに抵抗が無くなってきているため、退職者増が採用者数の増加に繋がり、「いかに会社を辞めさせないか、即ち定着率を向上させる方法」も必要になってきております。
なぜ会社を辞めるのか?
会社を辞めるのは会社に不満がある場合が多いですが、地元を離れ、相談したり話をしたりする仲間がいない場合、孤立し会社にいずらくなるケースもあります。
辞める理由はいろいろありますが、多くは下記のようなケースです。
友達との対話で他にいい会社があるのではないかと考える。
ソーシャルネットワークシステムで簡単に情報交換ができる時代になっており、少しでも会社に不満があると他の会社がよく見えてしまう。
地元に帰りたくなった。
少しでも会社に不満があり、親にそのことを話すと我慢しろというよりも帰ってこいというケースが増えている。また、親の家業を継ぐケースもこれに含まれます。
悩みを聞いてくれる先輩・同僚がいない。
学校の先輩、同郷の先輩・同僚がいる場合は仲間が出来やすいが、新規採用校を増やしているケースも多く、そのような場合に孤立しやすい。
福利厚生、職場環境、処遇への不満。
寮・社宅が古い、職場のトイレが汚いなどの福利厚生、職場環境への不満。給与など処遇面での不満。
残業、休みが読めない
彼女とデートしたい、家族と遊びに行きたいが、休みや残業が不定期のため、予定が立てられない。また、家族と遊びに行く予定を立てていたのに、急な呼び出しがあり、キャンセルとなるケースが何回かあった。
定着率向上施策
上記原因を踏まえて、考えられる対策は以下の通りですが、大事なのは部下の不満を吸い上げて、対策を打つことです。
定期的に上司・部下の対話を実施する。
部下の不満を吸いあげる形で 対話を行う。困っていることはないか、会社に対して言いたいことはないかなど。
この場合、本音を聞き出すことが目的のため、お酒が入っても良い。話を聞いてもらっただけでスッキリするケースもあるが、ここで吸い上げられた課題は会社で共有し、対策を必ず考える。
家族見学会の実施
家族に職場、寮、社宅などを見せる。どんな環境で仕事をしているのかを見せると親は安心し、辞めたいと言ったときに良い会社だからがんばれとバックアップしてくれる。
同郷会、県人会などをつくる
同じ同郷のメンバーで懇親会などを開催する。同郷だと会話も盛り上がり、仲間意識が芽生える。悩みも相談しやすくなる。職場を跨いだ交流にもなり、管理職が入っていれば、直属の上司以外にもネットワークが築ける。
職場環境、福利厚生の改善
トイレ・照明・水屋・空調は古くなっていたり、機能しなくなっていたら修理や更新を行う。社宅・寮も古ければ改装・更新する。資金面で苦しい時でも投資する価値はあり、企業の存続に関わることとして、社内で優先課題として議論する。
突発対応体制を整える
トラブル対応などのケースでは誰を動員するか、輪番制で決めておく。
また、緊急呼び出しが多い職場は、要員に余裕を持たせるのが望ましいが、難しければ多能工化など代替が利きやすくする環境を整えておく。
家族と遊びに行くケースをキャンセルさせた場合はキャンセル代を支払い、次回旅行券などプレゼントする。
採用と定着率向上は表裏一体
採用数を確保するために採用地区を広げ、新規採用校を増やすのも対策の一つですが、数合わせの採用ではやりたい仕事とは違ったということで辞められてしまうことになります。
マッチングしている人材が多いときは思い切ってオーバー採用する、逆にマッチングする人材がいないときは無理して採用しないことです。
また、定期的に同じ学校から採用している場合は、景気が良くても悪くても、毎年同じ数を安定的に採用すると学校との信頼を得ることが出来て、その会社にあった生徒を紹介してくれることも期待できます。
会社によっては支店や事業所単位で採用をしているケースもあると思いますが、支店や事業所で採用情報を共有し、自分の支店では採用人数がオーバーするが、いい子がいるので他に支店ではどうかなどと、融通しあうことも今後必要な方法になってくると思っています。
さらに地元回帰の動きも出てきております。九州方面は人を都市部に出さないような動きが見られます。また、地元採用の社員は定着率が高い傾向にもあり、東北、九州、沖縄に足を延ばすことも重要ですが、地元の高校・大学を新規に選択肢に入れることもお奨めします。
定着率=なぜ会社を辞めるのかを考える
中小企業では、10年目社員の定着率が5割という状況です。技術立国の日本においては技能伝承という視点でも危機感を持たざるを得ません。そこで、変な聞き方にはなりますが、なぜ会社を辞めないかという視点で10年以上勤めている社員に話を聞いてみるのもヒントになるのではないかと考えております。