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企業にとって新たな挑戦を行うことは、未来を見据えた上では、必ず必要なことです。

進化と変化を求めない企業に味蕾はありません。

そんな中、即席麺メーカー大手の日清が取り組む「食のイノベーション」。

はたして、日清のこの戦略とはどのようなものか?
前編に引き続き今回も、日清のリアルマーケティングに迫ってみましょう。

リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦④ 【動きはじめたイノベーション】


日清の新たな取り組みは、実は既に動きはじめていました。

既に発売開始となっている完全栄養食「All-in」シリーズの開発にも携わっているのです。

完全栄養食「All-in」シリーズの発売は、2019年3月です。

即席麺メーカーの日清が「完全栄養食」を手がけたのは、少し意外な感じもします。

この完全栄養食は、食品分野の中では、ニッチなマーケットと言えます。

新規事業や新サービスをはじめるにあたっては、まだ世間にないニッチなものを探し、事業展開していくことがパイオニア的ブランドとなり、事業として付加価値をつけることになります。

現在は、マーケティングによる市場調査はどの企業もしっかり行っていますので、ニッチな分野を探すのも一苦労です。

これだけ物が溢れた時代に、ない物を探し出すのは至難の技であり、見つけたとしても新たな市場を開拓していくのもまた難しいわけです。

しかし、企業にとって新たな挑戦をすることは、数年先の近い将来にとっても必要なことなんです。

即席麺メーカーの日清が、なぜ完全栄養食市場に参入したのでしょうか。

それには、時代の1歩先を見据えた日清の考えがあるようです。

リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦⑤ 【ニーズとニッチ】


「All-in」シリーズのコンセプトは、「この一食で、すべての栄養、全部どり。」

完全栄養食ということだけあり、この商品を食べれば、必要な栄養は全て賄えるという商品です。

ヘルシー志向の現在においては、マッチする商品と言えるのではないでしょうか。

「All-in」シリーズのメイン商品はパスタとソースがセットになったカップタイプのものです。

即席麺メーカーという強みを活かし、作り方も簡単でスタイルは即席そのもの。

カップに麺と湯を入れて6分おいて、お湯を捨てソースを入れて混ぜるという定番の焼きそばスタイルなのです。

見た目は、なんらカップ麺と変わらないのですが、普通のカップ麺と決定的に違うのは、1食分には1日に必要な栄養素の3分の1が含まれているというわけなんです。

つまり、3食とれば1日に必要な栄養素をこれだけで賄えることになるというわけです。

まるで見た目はカップ麺と変わりないの1日の栄養分がとれてしまうというのは、驚くべきことです。

栄養素としては、13種類のビタミンと13種類のミネラルの他、たんぱく質、食物繊維も含まれており完全栄養食というだけあってバランスも非常によくとれています。

その上、糖質も30%カットとなっている為で、健康を気にしている方にはもってこいの食品と言えるでしょう。

しかも、調理の手間もない為、忙しい人に向いています。特に仕事が多忙で栄養バランスを欠いた食生活の方にとっては、本当におすすめの商品と言えるのではないでしょうか。

近年では、未婚率の増加により単身世帯が増加しています。特に30代〜40代の働き盛りの独身男性などは、栄養のかたよった食生活をおくりがちです。

そんな方に「All-in」シリーズは最適です。毎食、これだけ食べていれば、健康は維持されるわけです。

日清の提供する新商品は、消費者の様々なニーズに応えること、さまざまな生活パターンにも対応するためでもあるようです。

また突然の災害時の非常食としても、非常に有効なのではないでしょうか。

日清のカップヌードルも、まさかの時の非常食として重宝されますが、お腹を満たすことは出来ても栄養面を満たすことはできません。

カップヌードルの場合、毎日食べ続けると逆に体の負担となります。それに対しカップヌードルのノウハウに栄養バランスを組み込んだ「All-in」シリーズは、これまでの日清のノウハウやスキルを活かした新たな商品と言えるでしょう。

完全栄養食の分野は、まだ他のメーカーもそれほど着手しておらず、マーケット的には、まだ小さい為、日清がパイオニア的存在になれる可能性は、大いに秘めているでしょう。

リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦⑥ 【日清の7カ条】

現在、主力商品商品の売れ行きが好調である日清が、今危機感を感じ新たな戦略を展開しようとしており、食のイノベーションを起こそうと積極的に取り組んでいます。

日清の経営戦略としては、目先の2020年を目処に中期経営計画が区切りを迎える時期だということで、新たな中期経営計画により様々な挑戦を今後仕掛けてくるということです。

その取り組みの一つが、「ラーメン店」の開始です。日清の作るラーメン店ということで、オープン直後の注目度が高まることは間違いないでしょう。

問題は、その後、これまでのチキンラーメンやカップヌードルなど主力商品のように継続することができるかどうかです。

新たなマーケティングを切り開く意味では、非常に期待が持てますし、楽しみで仕方ありません。

日清という企業は、そもそもチャレンジの繰り返しの企業でした。

斬新で非常識な発想が数々のヒット商品を生み出してきたのです。

即席麺メーカーとしてブランド化した日清には、日清独自の
次のような7カ条が存在しています。

  1. 飽くなき好奇心
  2. 非常識な発想
  3. コンセプトデザインのセンス
  4. 先を読む予知能力
  5. 勝つまでやめない情熱
  6. 自己否定する勇気
  7. 肌感覚を持つ

新商品の開発や新たなマーケティング戦略を考える上では、お手本のようなものばかりです。

この日清の理念は、ビジネスマーケティングとして学ぶべき点があります。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は「リアルマーケティング考察。食のイノベーション日清の挑戦【後編】」というテーマで詳しく解説致しました。

食のイノベーションという新たな取り組みを行う日清の姿勢は、食品業界にとっても大きな刺激を与えることになります。

日清が作るラーメン屋が、どんな感じになるか今から楽しみでたまりません。


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