「定年」という制度についてマーケティング的に考える今回。前編に引き続き、日本社会の高齢化と「働く」ことについてより、深く迫っていきます。
ということで今回は「マーケティング考察。定年を考える。あなたは、何歳まで働けますか?【後編】」というテーマで解説致します。
マーケティング考察。定年を考える。④【定年の常識とは?】
日本人の平均寿命は、今後もまだまだ伸びていくのでしょうか?
寿命が伸びると、それだけ働ける期間も長くなるわけですが、社会で働くにも消費味期限と言われるものがあります。
それが「定年」と言われるものですね。
この「定年」は、決められているもので、主に雇用されている方に該当することです。
会社であれば、就業規則に必ず定められているものです。
事業主の方であれば、定年は特にはありません。仕事を続けるかどうかは、事業主本人の自由で自分自身が決められるのですから。
近年では、企業に属さずフリーランスとして働く方も増加しているので定年そのものの概念も今後変わってくるのでしょうが、一般的には、まだまだ「定年」というものの概念は存在し続けるでしょう。
この「定年」ですが、昭和の時代は、定年は55歳ということでした。
その後1980年代に入りバブル崩壊後には60歳というのが一般的になりました。
これは、還暦を1つの目安にしていた為です。
その後は、現在に至るまでの少子高齢化という時代背景もあり、さらに定年は上がり65歳が一般的として認識されるようになります。
近い将来では、若者が少なく労働人口の減少に拍車をかける今後の影響もあり、70歳を超えて75歳前後まで働くことを求められる日が現実になるのではないかと言われています。
マーケティング考察。定年を考える。⑤ 【高齢者を雇用する企業】
実際に雇用する側の企業としては、高齢者の雇用に対しては、どのように対応しているのでしょうか。
定年についての規定は、各企業で異なります。会社の規模や歴史によっても違ってきます。
企業の就業規則によれば、定年の規定があるのは、正社員だけでなくアルバイトやパート、契約社員にまで及ぶ場合があります。
これも一律には、定めがなく各企業によって異なります。
この定年の定めについても、線引きとしては非常に微妙な面もあります。
定年70歳と定められている企業の場合、69歳までは戦力として雇用していたパートのおばさんが、誕生日を迎え、契約を解除されたという事例もあるのです。
このケースでは、解除された高齢者の方は、体力的にも健康的にもまだまだ元気で働ける状態にも関わらず、会社の規定により契約解除となったことに不服を持ち、会社に対して訴えましたが、会社の規定ということで、契約解除が覆ることはありませんでした。
元気でまだ働きたい高齢者と、決まりだからと打ち切る企業には、矛盾も感じられます。
このような事例もある中、現実的なところでは、人出不足という現状もあり、高齢の方でも健康に問題がなく元気な方であれば、労働力としてあてにしたいのが企業の本音です。
まだ長引く不況の影響により、企業もできるだけリスクをおいたくないことから、即戦力ばかりを重用する傾向も強く見られました。
雇用する側の企業としては、実際に社会経験の乏しい若い世代より経験豊富なベテランである高齢社員のほうが確実に仕事をこなしてくれる計算できる戦力と考えているからです。
即戦力という面では、仕事をきっちりこなす高齢者の方が依頼する上での安心感はあります。
しかし、後にこれが人材不足と言われる現状を生み出してしまったことも1つの事実なのです。
本来は、若い世代にお金も時間もかけ、人材教育をすることが企業にとっては、必要とされることでした。
理解度が早く、社会的経験のあるベテランの採用にもリスクは、もちろんあります。
それは、高齢による衰えです。若い世代に比べて確実に体の機能は衰えていることに間違いはありません。
体調面での変化は、いつ起こるかはわからないわけです。
その為、企業として、高齢者を雇用する場合には、健康管理やチェックを行う必要があります。
職場での定期健康診断、ストレスチェックなどの制度を設ける必要があります。
マーケティング考察。定年を考える。⑥【定年の未来はどうなる?】
70代となっても元気で働ける方は、今後もさらに増加する可能性があり、今の70代より20年後の70代は、さらに若がえる可能性もないとは、言えません。
しかし、人間も所詮は生き物です。どんなものにも期限はあります。
加齢による身体機能の低下は、様々なところに現れます。
感覚機能(視力・聴力)、平衡機能・バランスの悪さ、筋力低下、敏捷性や動作速度、反応時間の遅さなど
具体的にみても、能力の衰えは隠せません。
仕事面での能力については、経験以外では若い人より、どうしても劣ってしまうのは仕方ないことです。
問題となるのは、単なる仕事のクオリティの低下だけに限らず、仕事以外でのリスクもあり得るということです。
その1つが「通勤」です。
特に都会の通勤は、ラッシュによる日々混雑の中の通勤となれば、怪我や体調不良の原因ともなりかねません。
また、パソコンなどの使用による視力低下など、体調面での変化も懸念されるところです。
年齢を重ねることは、誰に対しても言えることで仕方のないことです。
高齢者の雇用に対しては、雇用する側もされる側もそれなりのリスクと対策をしっかりとって仕事を安全にできる環境を整えることが必要です。
その為には、高齢者の方にとっては、日々のセルフケアが重要になってきます。
今後、更にいつまで現役として働けるか?さらに定年の概念そのものも変わってくるかもしれません。