数あるホテル業界の中で近年、注目されているのが「ドーミーイン」ブランドです。
ビジネスホテルの概念を覆し業界をリードする「ドーミーイン」の経営戦略、マーケティング戦略とはいったいどのようなものなのでしょうか?
前編に引き続き今回も顧客に評価される「ドーミーイン」の経営戦略についてより深く迫っていきます。
ビジネスホテルの新たな形「ドーミーイン」の経営戦略④【ドーミーインの人気の秘密とは】
新規事業や新サービス、新商品を提供するにおいて他社との差別化を図り、ニッチな分野で新たに開発したビジネスモデルなわけです。
「ドーミーイン」の人気の理由は、何も大浴場施設のみというわけではありません。
前述のように、初出店当時は、ビジネスホテルで大浴場というスタイルは稀な存在でしたが、現在では他社でも大浴場施設はあるので、「ドーミーイン」ならではの「売り」というけではありません。
「ドーミーイン」が受け入れられているのは、大浴場設備に加え、顧客に対しての魅力的サービスがいくつも用意されているからです。
具体的な「ドーミーイン」の魅力と人気の秘密をまとめてみました。
1. 温泉大浴場
まずあげられるの「ドーミーイン」の特徴となるのが、やはり大浴場の設備です。
一般的なビジネスホテルといえば、各部屋に設置されているユニットバスを利用しますが、ドーミーインには温泉大浴場があります。
施設によっては、露天風呂まで完備されているところもあるのです。
これは、多忙なビジネスマンにとっては疲れをいやすのに、非常に嬉しいサービスと言えます。
出張は、新幹線や飛行機などを利用した長時間の移動もあり、通常よりも疲れを感じるものです。
そんな疲れた体には、大浴場の温泉効果がリラックスと疲労回復に効果があります。
サウナやマッサージチェアなども利用でき疲労回復と気分転換に役立つ設備もあり、ビジネスマンから支持を得られる理由がわかります。
2. 無料の「夜鳴きそば」
ビジネスホテルのサービス形態としては、食事はサービスに含まれていないのが普通です。
ドーミーインではオプションで食事を付けられる施設もあります。
ビジネスマンの出張では、夜の食事は懇親会や接待など、外で済ませることも多くビジネスホテルでの食事利用のニーズは求められていませんが、それでもビジネスマンのハートをしっきりキャッチするサービスが「夜鳴きそば」の提供です。
22時過ぎの小腹の減る時間タイなさっぱりしたものを少し食べたい時には最適です。
飲み会などの後の締めの一杯としても最適なのです。
3. 朝食バイキング
ドーミーインでは、オプションで朝食バイキングをとることもできます。朝からしっかり食べたい方にはおすすめです。
4. 熱いおしぼりの提供
フロントで熱いおしぼりをくれるサービスがあります。店舗によっては、コーヒーまたはコーン茶の無料提供を行っているところもあります。
5. 部屋着の提供
館内用出使えるラフな部屋着が利用できます。浴衣ではなく上下セパレートの動きやすいスタイルで、ラフな感じで着心地がよく、とてもリラックスできます。
館内をラフなスタイルで歩けるのは、かなりノンストレスです。
6. モバイル充電対応
もはや当たり前と言えるノパソやスマートフォンなどのデバイス機器の充電にも気を使っていて、枕元にコンセントと携帯充電器が用意されています。
ビジネスマンにとってのデバイス機器は必需品、充電にも安心な環境です。
7. 空気清浄機と加湿器
こちらも部屋に備え付けとなっています
8. 日本式ベッド
9. 漫画読み放題
ドーミーインでは気分転換になる漫画も準備されています。部屋への持ち込みもOKです。
上記のようにドーミーインで、細かいところの心配りのサービスが顧客の心をガッチリキャッチしているのです。
ビジネスホテルの新たな形「ドーミーイン」の経営戦略⑤【ドーミーインの成長背景】
ドーミーインの運営会社である「株式会社共立メンテナンス」は、そもそもは、寮の運営会社としてスタートしました。設立は1979年。
学生寮や社員寮の運営業者を主に行っていましたが、現在ではビジネスホテル事業をメインとし全国展開しています。
ビジネスホテル事業への本格参入は1993年。創業から14年後のことでした。
つまり、成長戦略の一つとしてビジネスホテル業への新規事業参入をしたということです。
このような社歴がある「共立メンテナンス」だからこそ、顧客の細かいニーズに応えるビジネスホテルを作ることができたのではないでしょうか。
「ドーミーイン」のコンセプトとしては、「住むホテル」「我が家に近いビジネスホテル」という明確なものがあります。
それはこれまでの寮や保養施設、給食事業等を行っているノウハウを活かすからこそ、他社とは違う共立メンテナンスならではの強みを活かしたビジネスホテルを作ることができたのではないでしょうか。
またビジネスホテルと言えば一般的には洋風ホテルという既存の概念にとらわれず和風ビジネスホテルをコンセプトにした施設の事業展開をしており、新たな取り組みとブランド確立など、積極的な経営戦略を行っています。
「旅館×ビジネスホテル」という、これまで存在していたようで、明確にはなかった新機軸を打ち出すことにより、今後の展開が楽しみなところです。
現状に満足せず、常に差別化とコモディティ化を推し進める企業スタイルはマーケティングのお手本のような企業戦略と言えます。
現在、全国チェーン展開するドーミーインブランドは5つ、約80施設があります。今後もまだまだ増加するのではないでしょうか。