皆さんは「コンサマトリー」という言葉を聞いたことがありますか?
近年では、あちらこちらでちらほら耳にすることがある言葉ですが、ビジネスシーンにおいては、まだ少ないのです。
というわけで今回は「ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか」について詳しく説明致します。
ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか①【コンサマトリーな生き方とは】
「ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか」というテーマで1つ目に取り上げるのは「コンサマトリーな生き方とは」です。
時代によって大きく変わる考え方や価値観。
情報社会の現代の中では、文字や画像、映像として確実に世の中に影響を強く及ぼすように時代は変化していきました。
変化の加速度が高まる現代社会において、私達1人ひとりの各個人のニュアンスというのも実に微妙な変化を生み出しており、価値観は多様化しています。
何を重視し、どこに向かっていくべきかは、個人の判断に委ねられているといってもよいのです。
そのような現代において様々な考え方がありますが、近年、注目されているのが「コンサマトリー」です。
皆さんは、この言葉を聞いたことがありますか?
「コンサマトリー」とはアメリカの社会学者タルコット・パーソンズが提唱した造語となります。
意味としては、「それ自体を目的とした」、「自己充足的」となります。
主に使われる分野としては、社会学の分野となります。
「社会学」という学術的な観点からすると、やや難しく感じてしまうかもしれませんが、具体的には、どのよう状態を言うのか具体的な事例を上げて説明いたしましょう。
例えば、あなたがふらっとコンビニに立ち寄るということは、今までに何度かあるのではないでしょうか?
ドリンクやお弁当、または支払などという明確な目的があることももちろん買い物の目的として訪れるということは、当然あるとは思います。
そうではなく、なんとなくの気分で、正に「ふらぁっ」とコンビニに足が向いてしまうことはありませんか?
コンビニになぜ、行くのか?用もないのに?目的もないのに?
そうなんです。皆さん、誰しもがはっきりと目的があるからこそ、コンビニに行くなんてことは、単なる決めつけなのです。
コンビニというのは、そのような雰囲気の場所なのです。
つまり、満足感がどこで満たされるかは、「コンビニに行くこと」で満たされるのです。
これこそが、日常にごく普通に存在する「場所」なんです。
人間が「コンサマトリー」な状態に入るということは、どのような状態を言うのでしょうか。
コンサマトリー状態になると集中力が高まります。
集中力が上がれば学習効率が向上し、脳が活性化します。そのため、時間的な感覚が消去されるのです。
つまり、コンサマトリー状態は、あっという間に時間が過ぎるように感じるというわけです。
ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか②【ビジネスにおける活用用途】
「ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか」というテーマで2つ目に取り上げるのは「ビジネスにおける活用用途」です。
「未来」ではなく「今」を志向し、「目的」ではなく「楽しさ」に没頭する
そういう意味でも、コンサマトリーが注視するのは、「未来」ではなく、「今」そこにある現状なのです。
今だけよければいい、今を楽しめばいいという考えは、あまりにも浅はかで否定的な捉え方も多いとされています。
しかし、「今」を楽しまなければ、では、いったいいつ楽しむというのか?わからなくなってしまいから、あながち、コンサマトリーが悪いことだと、とらえるのは少し違うのではと思われます。
コンサマトリーな状態や考えをみると、あくまで個人であれば、まだしも受け入れられるのではと思われるかもしれませんが、近年ではビジネスにも活用できないかという考えが広がっているのです。
「個」から「集団」に展開することが可能か模索されているのです。
現代のような情報社会において、各個人が情報を自由に取得できること自体が多様化を進めていることとなりますが、現状の社会における傾向としては、「未来志向型」へとシフトしつつあります。
「未来志向型」という考え方そのものの価値観のほうが有利だととらえられる傾向があるからです。
「未来志向型」という考え方自体は、決して万能だとは言えません。
現代人というのは、ストレスを抱えて生きている傾向があり、そんな日常の中でも継続性を維持しつつも未来を見据えながら生きていかなければならない現状となっています。
利便性の良い現代でありつつも精神的には、その一方で非常に生きづらさを感じてしまう傾向もあるのです。
未来を見据えつつ現状をキープしていくことは、ある意味非常にしんどいものでもあります。
燃え尽き症候群という言葉もあるように、現状をキープするだけでも、精一杯というのが実情であり、途中で燃え尽きてしまうことがリスクそのものとなってしまう傾向があるのです。
「未来志向型」という理想的な考えを最優先としつつ、その一方で「現状快楽型」という考えもあります。
「快楽」という言葉が含まれているように状況としては、非常に楽しそうな雰囲気もありますが、現状快楽型は、一時の快楽に溺れ安定感は欠くことになります。
ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか③【コンサマトリーの目的と未来型志向】
「ビジネスシーンにおいてコンサマトリーをどう活かすか」というテーマで3つ目に取り上げるのは「コンサマトリーの目的と未来型志向」です。
ここでコンサマトリーとインストゥルメンタルを前提とする考え方や感覚という思想や概念、観点からみても、それに伴うリスクやコストというのも全く変わってくることになるのです。
大切なのは、未来ではなく、今をどう生き抜くか?というのが確かに大切にはなります。
「未来」という「目的」ではなく「楽しさ」を追及していくのが「コンサマトリー」となります。
コンサマトリーの概念的には、「現在を楽しむ」ことは、肯定的と捉えることがあります。
もっと単純に考えれば、人間というのは、好き嫌いで極端に反応を見せるということが、極々自然なリアクションとしてとらえられています。
さらに新しいものに反応しやすいというのが、トレンドを生み出す強い関心や探究心の源動力ともなり得ます。
ビジネスにおいては、新鮮さを保つ上でも新たなチャレンジというのは刺激として必要となることも多々あるのです。
このようなコンサマトリー的な考えを理想的にとらえれば、組織や集団の中においてもコンサマトリーを生み出せる可能性も多いにあるというわけです。
またビジネスにおいては、「報酬面」というのが大きく関わりますが、これがリスクとして大きく関連してくるのです。
リスクが大きければ、大きいほど、報酬も大きくなってきます。
コンサマトリーを波及させていことにより、ビジネスとしてはモノを売るという一面と、自らが本当に行いたいことというギャップをどこまで埋められるかというのが重要になってきます。
個人としては、感受性を大切にすることが非常に大切となるわけですが、それを組織にも活かしていくことができれば、これまでと違った価値観で新たなビジネスの展開が可能となってきます。
ここ数年間でのコロナ禍という状況が、新たな価値観や考え方を生み出すきっかけとなったことは、言うまでもありません。
むしろ、考え方を変わらざるをえないような極端な状況の変化が起こったことにより、結果的に時代の変化は加速していくことになりました。
コンサマトリーという考え方は、「経済性から人間性への転換」という大きな変化を与えたこととして、現実的に受け止めていく必要が出てくることになるのではないでしょうか。